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橙ネコと氷雪の隊長

「戻った。」
「隊長〜。」

 乱菊は目を輝かせ、冬獅郎を見るが、冬獅郎は乱菊を一瞥し、身をかがめてから一護の頭を撫でる。

「よくやった。」
「何ですかそれ、頑張ったのはあたしですよ〜。」
「ほぉ、休み時間を多く貰ったのにか?」
「えっ、何でそれを。」
「さあな。」

 冬獅郎は目で一護に合図を送った。
 先ほど、冬獅郎がしゃがんだ時に一護は簡単に報告したのだ。

「今日は残業じゃなくてよかったな。」
「ううう…。」

 冬獅郎は一護を抱え、自分の席に着いた。
 一護はふっと今の時刻を見てから、冬獅郎の机から飛び降りた。

「一護?」

 一護は猫の鳴き声を出し、そのまま外に出て行った。

「今日のお帰りは少し早いようですね。」
「まあ、何かあるんだろう。」

 冬獅郎は一護が買出しにでも行くのだと悟り、何事もなかったかのように筆を動かした。
 そして、冬獅郎の読みどおり、一護は一度冬獅郎の家まで戻り、人の姿になった。

「う〜ん、やっぱりじっとしとくのは苦手だな。」

 一護は背伸びをして、そして、財布を持って買出しに出かけた。

「おー、嬢ちゃんじゃねぇか、今日は何を買うんだ?」
「うーんと、そうだな、こっちのキャベツと…ああ、このたまねぎ安いなそれと、うーん、にんじんはまだいっぱいあったし。」

 一護は家にある材料と今後作るだろう料理などを考え、買出しを済ませ、そして、最後に冬獅郎がよく筆と墨とかを買う店にやってきた。

「おや、久しぶりだね。」
「おばあちゃん、久しぶり、墨あるかな?」
「あるよ、ちょっと待ちな。」

 老女はそう言うと置くに引っ込んでいった。
 一護はその間物珍しそうに硯や綺麗に染められた紙などを見ていた。
 そして、浅葱色の紙を見た瞬間、綺麗だと思った。

「あったよ。」
「ああ。」

 一護は老女の言葉に振り返り、そして、老女は一護が見ていたものを見てこっそりと微笑んだ。

「それじゃ、この金額だね。」
「ああ。」

 一護は財布からお金を出し、その間に老女は墨を袋の中に入れ、そして、一護が先ほど見ていた浅葱色の紙を入れた。

「えっ、それは…。」
「おまけだよ、いつも贔屓にしてもらっているからね、これで、恋文でも書いたらどうだい?」
「こ、恋文って……。」

 顔を真っ赤にする一護を見て、老女は苦笑する。
 まだまだ発展のなさそうな一護と十番隊の隊長を思い浮かべ、そして、少しでもきっかけになるように、老女は願いを込めて、袋に入れた。

「それじゃ、またね。」
「あ、ああ。」

 一護は顔を真っ赤にさせながら店を出た。

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