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橙ネコと氷雪の隊長

 楽しい時間はあっという間に終わり、冬獅郎は面倒くさいと思いながらも隊主会に出るべく準備をする。

「一護、松本の監視を頼んだぞ。」
「分かってる、冬獅郎も気をつけろよ。」

 一護は給湯室でお重箱を洗いながら返事をする。

「ああ、早く帰ってくる。」
「は〜い。」
「行って来るな。」
「いってらっしゃい。」

 一護は一旦手を止め、冬獅郎を見送る。
 冬獅郎は羽織をなびかせ、執務室から出て行った。

「さ〜て、乱菊さんが戻る前に片付けないとな。」

 一護はさくさくとお重箱を洗い終え、そして、それを拭き終える。

「……一時間三十分経過……、乱菊さんを探しに行くか。」

 いつまでも戻ってこない乱菊に一護は猫の姿で呆れていた。

「本当にどこに行っているんだよ……。」

 一護は色々な場所をめぐり、乱菊を探すが中々見当たらない。
 九番、八番、五番と行ったがいなかったので、一護は馴染みの茶屋に向かった。

「おじさん、串団子もう一皿追加っ!」
「乱菊さん、食べすぎですよ。」
「だって、美味しいじゃない。」

 一護は聞き覚えのある声にようやく見つけたと、溜息を吐いた。

「あれ…一護ちゃん?」
「……。」

 桃の呟きに乱菊はギクリと顔を強張らせた。

「い、一護……。」

 乱菊の反応に桃はまさかと呟く。
 一護は乱菊の袴の裾を噛み、引っ張る。

「……乱菊さん、またサボリですか?」
「ち、違うわよ、すこ〜し、多めに休憩を貰っただけよ。」
「……。」

 呆れる桃はそっと一護の頭を撫でる。

「ご苦労様、本当に一護ちゃんはえらいね。」

 桃の言葉に答えるように一護は鳴き声を上げ、そして、ずるずると乱菊を引っ張っていく。

「あ〜、あたしのお団子〜。」
「後でシロちゃんの分も買って持って行きますね。」

 小さな体の何処にそんな力があるのかと思いたくなるほど一護はその小さな体で乱菊を引っ張り、そして、十番隊の執務室に戻ってきた。

「う〜、少しくらいいいじゃない。」

 反省していない乱菊に一護は彼女が隠し持っている酒瓶を冬獅郎に教える事を決め込んだ。

「はぁ…。」

 乱菊は溜息を吐いて、とろとろと筆を動かした。
 一護はそれをじっと見張っており、冬獅郎が戻るまでしっかりと、任務を全うしていた。

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あきゅろす。
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