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橙ネコと氷雪の隊長

「隊長、何か嬉しそうですね。」
「そうか?」
「そうですよ、どうしたんですか?」
「ちょっとな。」

 普段と変わらぬ仏頂面なのだが、副隊長である乱菊には誤魔化されなかった。

「もしかして、仕事がないとか?」
「……お前のその目はただの飾りか?」

 冬獅郎の呆れた目に乱菊は苦笑する。

「冗談ですよ、冗談。」
「……。」
「う〜ん、隊長の喜ぶ事、喜ぶ事。」

 今にも仕事をしろと怒鳴りそうな冬獅郎を無視して、乱菊は今日の冬獅郎が喜んでいる理由を考える。

「一護に彼氏?」

 乱菊の独り言に冬獅郎の眉がピクリと動く。

「そんな訳ないですよね。隊長は一護を溺愛していますからね、本当に恋人か、娘のように本当に可愛がっていますし…本当に何ですか?」
「松本…。」

 冬獅郎の常よりも低い声に乱菊はやってしまったと思ったが、もうすでに遅し…。

「てめぇは本当に俺を怒らせる天才だな……。」
「あははは…、そんなに怒ってばっかりですと、血圧上がりますよ?」

 冬獅郎は普通では決して笑わないのだが、今回は笑みを浮かべている。

「松本、無給と有給休暇没収どっちがいい?」
「えっ?ちょっと、待って下さい…、減給じゃなくて、無給?ひ、酷すぎじゃありませんかっ!」
「ほう、松本は無給がいいのか?」
「違いますっ!」
「……されたくなければ、分かっているんだろう?」
「はい。」

 乱菊は項垂れ、そして、大人しく自分の席に座った。

「一護に彼氏だと?……絶対にそんなのは認めねぇぞ。」

 低く唸るような声を上げる冬獅郎はまるで本物の獣のように鋭い目で書類を睨んでいた。

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あきゅろす。
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