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悲しき祈り

「ただいま。」

 何とか残業にならずにすんだ冬獅郎は疲弊しながら自宅に戻った。

「おかえりなさい、シロちゃん。」
「おかえり、冬獅郎。」
「……。」

 迎えられるのは正直照れくさいのだが、桃のシロちゃんと言う呼び方だけはいただけなかった。

「雛森、日番谷隊長だ。」
「えー、今は仕事じゃないんだし、いいじゃない。」
「駄目だ、てめぇは何度言っても聞かないんだ、普段から心がるべきだろう。」
「まあまあ、そこまでにしたらどうだ。」

 冬獅郎の説教が長くなりそうだと感じた一護は二人の間に割り込む。

「……こいつに免じて、今日は許してやる。」

 一護を見て、そう言うと、冬獅郎は己の羽織を脱いだ。

「ありがとう、一護ちゃん。」
「いや…ああ、そうだ、晩御飯勝手に作ったんだけど、一緒に食うよな?」
「……。」

 無邪気に笑う一護に冬獅郎は何故彼女が無防備でいられるのか、不思議に思った。

「ああ。」
「それじゃ、一護ちゃん、行こう。」

 一護の手を引いて、桃は一護を台所に連れて行った。

「……俺がいない間何があったんだろうな?」

 打ち解けあう一護に、一体桃はどのように彼女を懐かせたのか気になった。

「………そういや…あいついつまでここにいる気だ?」

 何故か自分の家にいる桃に冬獅郎は眉を寄せた。

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