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悲しき祈り

 冬獅郎は書類を捌きながら、一護の事を考えた。

 何故、彼女が囚われていたのか。

 何故、彼女があそこまで怯えているのか。

 謎が多すぎた。

「隊長〜。」

 真剣に考える冬獅郎に副隊長の乱菊がへばっていた。

「何だ松本。」
「何で昨日帰ってこなかったんですか〜、大変だったんですよ〜。」

 昨日結局あのまま執務室に戻れそうになかったので、地獄蝶を飛ばしたのだが、どうやら、昨日はあの後で凄まじいほどの書類が持ち込まれたようで、今も冬獅郎たちはその書類を捌いていた。

「そうか、いつもお前が逃げるからな、たまには俺だって逃げたくなる。」
「うっ……。」
「という事で、松本きびきび捌け、まだ書類は山積みだぞ。」
「う〜、隊長の鬼〜。」

 乱菊が手を動かし、冬獅郎は再び書類を捌きながら考え事をする。
 一護の事を自分は何も知らない。
 一護が話さなければ何も知らないのだと、気づかされる。

「はぁ……。」

 冬獅郎は溜息を吐いて、そして、外を見た。

「大丈夫だろうか。」

 今日は桃が休暇を取り、一護の側に居てくれている。
 早めに彼女に尸魂界の常識を教えなければならないだろう。

「余計な事を言っていなければいいんだが。」

 冬獅郎は桃のお節介癖を思い出し、げんなりとする。

「…………。」

 冬獅郎は書類を少しでも早く終わらせるために、集中し始めた。

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