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定めを覆せ

 己の上司であり、親友であった彼女が亡くなって、何年たったのだろうか。
 少女は彼女の遺品を探っていて、そして一通の彼女に向けての手紙を見つけた。

「これは…。」

 少女は目を見開き、恐る恐る封筒の端を千切った。


「………あっ…。」

 少女は己に当てられた一文字一文字を追い、そして、彼女とその部下で彼だったが何故あのような死を遂げたのか、そして、ある計画を考えている旨がその手紙には書かれていた。

「馬鹿者…。」

 何故あの時にその事を言わなかったのか、少女は上司に向かって暴言を吐く。
 しかし、その上司の手紙には続きがあった。
 もし、あの時に自分を慕う者たちに真実を告げた時、間違いなく少女ともども上司の後を追うだろう、その道連れに出来るのは副官で、恋人だった彼だけだったのだ。
 そして、最後にこう締めくくられていた。

「『もし、またオレに逢いたいのなら、オレが残した最後の白紙に署名と拇印をしてくれ、その紙にはオレの鬼道が掛かっている。
 これは契約だ。オレがお前たちの来世の魂を握る、そんな契約だ。
 もし、それを知ってオレに逢いたいのであれば、仲間と共に署名してくれ。
 正直に言えば、オレはお前たちに追っかけてきては欲しくはない。
 来世の道は、修羅の道だ。
 それでも、付いて来るという者だけが、付いて来い。
 ルキアの親友で、上司、黒崎 一護』。」

 少女の心は当に決まっていた。

「馬鹿者、本当に貴様は馬鹿者だ。」

 少女は迷う事無く、近くにあった筆を掴み己の名を刻む。
 そして、拇印は捺印を使えば言いのにもかかわらず、少女は自分の意思表示のためか、己の斬魄刀を掴み、指を傷つけた。

「――っ!」

 痛みで顔を顰めるが、それでも、少女は迷わず指を紙に押し付ける。

「待っていろ、一護…。」

 少女は己の怪我など忘れ、紙を持ち自分と同じく上司の死を悼んだ者たちの元に急いだ。
 そして、少女は数人の名と、拇印を集めた。

「一護、来世で待っていろ。」

 少女は仲間たちと共に、彼女の髪と同じオレンジ色の夕焼けを見ていた。

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