定めを覆せ
4
大量の虚が現れてから数日が経ったが至って普通の日常を一護たちは過ごしており、そして、本日井上と約束していたアイスを食べに来ていた。
「おい、黒崎。」
「ん〜?」
一護は大好きなチョコレートのアイスにかぶりつきながら自分を呼んだ石田を見た。
「ん?」
「君は食べるか喋るかのどちらかにしたらどうだ。」
呆れた顔をする石田に一護は一瞬悩むが食べる事にした。
「君って奴は…。」
額に青筋を浮かべる石田に一護は首を傾げる。
「何でそっちを優先させるんだっ!」
「……。」
一護は今口に入っているアイスを飲み込み、答えを言う。
「だって、溶けるじゃん。」
「だからって。」
「別に大した話じゃないんだろ?」
あっけらかんとする一護に石田は怒りで拳を震わせる。
「石田、落ち着け。」
「そうだよ。」
石田の怒りを抑えようとチャドと井上がなだめるが、ルキアは一護に同意する言葉を言ってしまう。
「一護の言うように貴様の言う事はどうせ今後の事だろう、それならばもうしばらく後でも構わぬであろう。」
「ぐっ…。」
「ふん、やはりか。」
図星だった石田にルキアは呆れたような顔をする。
「朽木さんは気にならないのか。」
「気になるな。だが、一護には一護の考えがあって我らには話さないのであろう。」
「まあな、ギリギリじゃねぇと正直、どう転ぶか分からねぇからな。」
ルキアの言葉に一護はニヤリと笑った。
「どういう事だ?」
「ん〜。」
チャドの言葉に一護は考えるそぶりを見せる。
「まず、確実に言えるのは、敵は虚圏に通じている事。もう一つは黒幕の斬魄刀の能力がかなり厄介である事。」
石田たちは何処まで一護が何を知っているのか疑問になった。
「まあ、ルキアには今夜話す、多分二、三日中に護廷が動くはずだからな。」
「そうなのか?」
「ああ。」
「石田、井上、チャドにはルキアが護廷に連行されてから話すから心配するな。」
「…連行ってただならぬ自体じゃないか。」
「しゃーねーだろ。多分あっちじゃ、オレがルキアの霊圧を奪った。つまり、力の譲渡をしたと思っているだろうからな。」
「……本当にか?」
「ああ。」
何処か自信満々に言う一護に彼女以外の全員が首を傾げている。
「何故そのような事が分かるのだ?」
「んー、秘密。」
「秘密って、君は…。」
「あっ!分かった、向うに助っ人がいるんでしょ?」
「残念、はずれだ、井上。」
「えーっ。」
井上の言葉に一護は苦笑する。
「オレに予知夢を見る力があるのは知っているだろう?」
「ああ。」
「そうだったな。」
「うん、そうだよね。」
「ム。」
「つまり、そういう事だ。」
ルキアたちは難しい顔をして、一護を見る。
「ん?何か変な事を言ったか?」
「貴様、確か以前は好きなようには予知夢を見る事が出来ないと言っておっただろう?」
「ああ、そうだな。」
「いつの間に出来るようになったのだ?」
「いや、出来てねぇよ。」
一護の言葉に四人は目を見開く。
「おいおい、話すって。あっ、ヤベ。」
一護はおもむろに時計を見て顔を顰める。
「遊子に買い物を頼まれたんだった、ルキア帰るぞ。」
「あっ、一護、またぬか。」
「そんじゃ、またな、井上、チャド、石田。」
颯爽と立ち去る一護に三人はただただ彼女の後姿を見る事しか出来なかった。
「結局何も分からなかったね。」
「黒崎はいつも秘密主義だ。」
「仕方ない、それが一護だ。」
一護はそう三人が言っている等知る由もなかった。
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