定めを覆せ
2
「あー、一護ちゃんっ!」
記憶を思い出してから井上があまりにも「黒崎総隊長」と連呼するので、流石の一護も学校でもそう呼ばれるのは困ったので、彼女の好きなように呼ばせたのだった。
「ああ、井上どうだ?」
「順調だよ。」
「そうか。」
「うん。」
元気よく答える井上に一護は笑みを漏らす。
「なんか元気ないね、大丈夫?」
「あっ、平気だ。そういえば浦原さんたちは?」
「何か分からないけど、急に外に出て行ったよ。」
「……そうか。」
一護はやはり何か起こり始めているのだと感じ顔を顰める。
「おお、一護、丁度お主を呼ぼうか思案していたところだ。」
「夜一さん、こんばんは。」
一護は笑みを浮かべるが、その表情は強張っている。
「お主も気づいておるのか。」
「ああ、気づきたくなかったがな。」
「流石、総隊長を務めていた者じゃな。」
「……はぁ、で、戦力は?」
「雑魚ばかりじゃが、数は異常に多すぎる。」
「そうか。」
一護は溜息を一つ吐いた。
「それにしても、夜一さんたちはよく気づいたな。」
「喜助が趣味で作ったものの中にちょうど虚の出現場所を予測する機械があってな。」
「…そんなのが出来るのか?」
「半分くらいしか当たらぬ。」
「……。」
夜一の容赦ない言葉に後からやってきた喜助は顔を引きつらせている。
「夜一さーん、酷いっすよ。」
「お主がもっと使えるものを作らぬから悪いのであろう。」
「……はいはい、二人ともそこまで。」
一護はこれ以上二人が喧嘩しても意味がないと分かっているので、休憩しているチャドや石田を呼んだ。
「おい、明日…時間帯は分からねぇが、虚の大量出現があると思う。」
「……それは確実なのか?」
「ああ、オレのこういった勘がよく当たるのはお前らの方が知っているだろう?」
「ム、そうだな。」
「一護、どうする気なのだ?」
「そうだな…。」
一護は面々を見て、そして、夜一と喜助のところで視線を止めた。
「確か、夜一さんたちの知り合いにものすげー、助っ人が居るよな?」
「あやつらの事か?」
「ああ、そいつらにも護廷にばれない程度に協力を要請してくれないか?」
「うむ…、あやつらはそう簡単に乗ってくれるかの?」
「それは夜一さんたちの腕の見せ所。」
一護はどこか軽く言い、そして、チャド、井上を見た。
「お前たちは程ほどに暴れてくれ。」
「えーっ。」
「……。」
不満そうな井上に一護は苦笑する。
「終わったら皆でアイスでも食いに行こうぜ。」
「わーい、それならいいよ。」
一護は井上の機嫌を取り、最後に残った石田とルキアを見た。
「石田はオレと全力で虚退治、ルキアは鬼道だけの攻撃になるが、やれるか?」
「君は僕を愚弄する気か?」
「無論出来るに決まっておるだろう。」
二人の言葉に一護はニヤリと笑った。
「んじゃ、皆今日はここで解散、明日に疲れを持ち越すなよ。」
「ああ。」
「はーい。」
「ム。」
「分かっておる。」
「それじゃ、喜助行くぞ。」
「待って下さいよ、夜一さん。」
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