身体で10題 3.唇 (山→沖)
沖田さんは、緊張すると唇を舐めることがある。
…クセなんだろうか?
本当に、たまたま偶然に見てしまった。
バズーカの照準をあわせてトリガーに指をかける瞬間。
ペロリ、と。
ドキッとした。
沖田さんの、あの紅い舌がなぞった綺麗な唇がしっとりと濡れていて。
とても大事な局面だったのに、俺はうっかりすっかり見蕩れてしまった。
「桂ァ!!」
弾が外れて、後を追って走り出した沖田さん。
それをボーっと見送ってしまい、隊士に袖を引かれて正気に戻った。
「山崎さん、どうしました?」
慌てて『なんでもない』と言って沖田さんの後を追って走り出す。
走りながら、赤くなった耳を早く風で冷やして、平気な顔をしていないと、と思う。
…バレてないだろうな…?
あの、濡れた唇が、キスした後みたいだった…そう思ったなんて。
次に沖田さんがバズーカを撃つときにも、必ず、絶対、隣にいよう!
…と山崎は思った。
end
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