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セブンス・リート

「危ない!」

  鋭い声が飛んできた、と思った次の瞬間、手元から火花が散った。視界が白くなり、そのすぐ後に真っ黒になる――

  ふと我に返った時には、ジョイスは仰向けになって床に横たわっていた。視界いっぱいに不思議な模様が見える。四角や三角、円などの図形が複雑に組み合わさった模様だ。ああ、天井の模様だな、とジョイスはぼんやり思った。ずいぶんとお洒落じゃないか。
  と、頭の上からバタバタと足音が近づいてきた。

「大丈夫か!?」

  今度は、視界いっぱいにアークが映る。体を支えられ、ゆっくりと抱き起こされた。

「あれ……?」

  一瞬、自分がどこにいるのか分からなかった。首をめぐらすと、部屋を取り囲む本棚、入口の扉、次いでアークの真っ青な顔が目に入った。

「お前、『録音機』に触ろうとして、突然倒れたんだ」

  戸惑うジョイスの思いを汲んだのか、アークが言った。しかし、そう言うアーク自身も、いまひとつ事態を呑み込めていないようだった。首を傾げながら、

「いや、あれは倒れるっていうより、吹き飛ばされたっていうか……」

  最後まで言い終わる前に、もう一つ足音が近づいてきた。シルバだ。

「ジョイス、大丈夫かい!? どこか、怪我は?」
「へーきへーき! これくらい……」

  二人を心配させまいと、ジョイスは立ち上がろうとした。しかし、すぐにふらふらと座り込んでしまう。倒れた時の衝撃のせいなのか、手が麻痺したような感覚なのだ。思うように力が入らない。

「立てないのか?」

  アークが目ざとくその様子に気が付いた。

「ん、なんか手がピリピリする」
「……ほら、手挙げて」
「手?」

  促されるままに手を挙げる。すると、アークは脇から手を差し込むようにしてジョイスを抱きかかえた。ピリピリすると訴えた手には触らないように、ゆっくりと立たせる。

「お、悪いな!」
「他に痛むところはないか?」

  ジョイスはその場でゆっくりと体を動かしてみた。倒れ込んだときに打ったのか、背中が少し痛むくらいだ。この程度ならすぐに治るだろう。手の痺れも徐々に収まってきている。

「……ん、大丈夫!」

  ジョイスが歯を見せてにかっと笑ってみせると、アークが一つ、溜息をついた。そのまま、小さく手招きをする。

「? なんだよ?」

  ジョイスが不思議そうな顔で近づくと、アークはその手をとり、力いっぱいねじった。


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あきゅろす。
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