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セブンス・リート


開発したてのミュージコードは、一見手の込んだ木彫りの置き物のように見えるが、手の平に乗るほど小さなこの木の塊には人の声をフォノとして残しておくことができるとあって、当時の人々を驚愕させた。

近年はミュージコードも改良が進み、形もより美しく、軽量化され、貴族の中にも愛用者がいるほどの人気ぶりである。
だが今ジョイスの胸元にぶら下がっているのは、

「……お前のミュージコードって一番初期のやつだろ? だったらもう5、6年は経ってるんじゃないか。そろそろ買い替えるか修理した方がいいんじゃねぇ?」

なめらかな触り心地の木肌は上と下で半分に区切られ、上側に円の形になるように長方形の穴が4つ開けられている。
下側には中央の大きなボタンの両側に小さなボタンが1つずつ仲良く並んでいた。
そして、上と下を繋ぐようにして、木の根がからまり葉の茂る大木のデザインが丁寧に彫りぬかれており、大小3つのボタンがさながら大木に支えられ守られる宝珠か何かのように見える。

一流の腕を持つ職人によって作られたのは素人目にも分かったが、よく見ると木のあちらこちらに細かなひびが入っており、ミュージコードの古さを物語っていた。


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