セブンス・リート 11 2人をぽかんと見つめていたジョイスは、名乗られたことに気ついて慌てて姿勢を正した。 「あ、えっと、オレはジョイス・フライハイト! よろしく!」 「ジョイスだね。アークから話は聞いているよ」 シルバとリーリエが椅子を引いて立ち上がった。 「『お茶目な音の仕掛け屋(トンボイトン・ギズモ)』へようこそ。直してほしいものがあるそうだね」 「そうなんだ。これ…」 フォークにスコーンを刺したまま、ジョイスは首から下げていた録音機を渡した。 「最近調子悪くて。録音しても音が変なんだ」 録音機を手にとったシルバの顔つきが変わった。今までの優しいそれとは違い、真剣な眼差しで視診を始めた。 懐から小さな金槌を取り出すと、録音機の外装を叩いて耳に当てた。 「音(フォノ)が乱れてるな…少し借りてもいいかい?」 「あ、うん…」 ジョイスが頷くのを確認すると、シルバは再生ボタンを押した。今朝録音したジョイスの歌声が途切れ途切れに聞こえてくる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |