セブンス・リート
2
入ってすぐの床には幾何学模様の絨毯が敷かれ、その上にいくつもの籠が置かれている。
その中を覗きこむと、片足の取れた人形、銀製の皿、錆びたナイフ、綿のはみ出たぬいぐるみなどが雑多に詰め込まれていた。
それ以外にも何か入っているようだったが、ジョイスにはよく分からない。
部屋の中央には年季の入った机が置いてあり、ゼンマイやネジ巻きが散らばっているかと思うと、壁に貼り付くようにしてピアノがあったり、機織り機があったりする。
「なんだここ…」
呆気に取られて立ち尽くすジョイスの耳に、コチコチという音が聞こえる。壁にかけられた時計が立てているのである。
だがそのどれもが違う時間を指し、まるで自分の示す時間が正しいのだと主張でもするように、時を刻んでいた。
これのどこがミュージコードの修理屋なのだろうか。雑貨屋の間違いなのではないだろうか。
ぐるぐると回る思考を落ち着かせようと、ジョイスは無意識に胸元の録音機を探っていた。
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