[携帯モード] [URL送信]

セブンス・リート


入ってすぐの床には幾何学模様の絨毯が敷かれ、その上にいくつもの籠が置かれている。
その中を覗きこむと、片足の取れた人形、銀製の皿、錆びたナイフ、綿のはみ出たぬいぐるみなどが雑多に詰め込まれていた。
それ以外にも何か入っているようだったが、ジョイスにはよく分からない。

部屋の中央には年季の入った机が置いてあり、ゼンマイやネジ巻きが散らばっているかと思うと、壁に貼り付くようにしてピアノがあったり、機織り機があったりする。

「なんだここ…」

呆気に取られて立ち尽くすジョイスの耳に、コチコチという音が聞こえる。壁にかけられた時計が立てているのである。
だがそのどれもが違う時間を指し、まるで自分の示す時間が正しいのだと主張でもするように、時を刻んでいた。

これのどこがミュージコードの修理屋なのだろうか。雑貨屋の間違いなのではないだろうか。

ぐるぐると回る思考を落ち着かせようと、ジョイスは無意識に胸元の録音機を探っていた。



[*前へ][次へ#]

2/14ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!