セブンス・リート
8
それだけがジョイスを突き動かしていた。
「…ありがとな、アーク」
自分の夢を応援してくれる人間が側にいる。そう思っただけで、ジョイスの顔は自然とほころんだ。
「じゃあ他のやつ。なんか1個選べ」
「選べって…」
偉そうだなと苦笑しながらも、アークは1つを選んだ。
「『悲哮の黒獣』。ロット・シュバルツだ」
「また珍しいもん選ぶな」
「そうか?」
ロット・シュバルツは過去に絶滅した種族で、その姿から黒獣族とも呼ばれる。
漆黒の体に真紅の瞳を持つ獣はまるで悪魔の化身かなにかのように見えるが、ひとたび遠吠えを始めると、その声は仲間を憂う悲しみの響きに満ちていたという。
切なくも美しい声に魅了された人間は四肢の自由を奪われ、黒獣の餌食になる――そんな伝説も残されていた。
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