セブンス・リート
4
アークを引っ張って先頭を歩くジョイスは、わき目もふらずにまっすぐ通りを進んでいる。もう一回だけ、という言葉は嘘ではなかったらしい。
(こういうさっぱりしたところはいいんだけどな)
どうしてこう落ち着きがないのだろうか。
思いついたら即行動。
興味のあるものには一直線。
回りがなんと言おうが気にしない。
あれやこれやとジョイスの性格を考えているうちにアークの足は止まった。
いや、正確には腕を引っ張っていた方が止まった。
「…ジョイス? どうした?」
「アーク…」
ジョイスがくるりと振り向いた。瞳に困惑の色を浮かべて、
「オレ、どこ行くんだっけ…?」
久しぶりに重くて長いため息をついた気がした。頭の中で2つの単語がぐるぐる回っている。
単純。
猪突猛進。
とてもじゃないが危なっかしくて見ていられない。
「…ミュージコードの修理屋」
「ああそれだ! で、どこ?」
アークの声が暗いことにジョイスは気がついただろうか。
たとえアークが兄としてどうしようもない葛藤に苦しんでも、目の前の弟分には分からないにちがいない。
「…もういいや。 行くぞ、こっちだ」
悩むより行動した方が早い。
再び漏れそうになったため息を呑み込むと、アークは先頭を切って歩き出した。
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