セブンス・リート
2
「なんだアークか」
「なんだはないだろ」
「兄ちゃん、この子の連れかい?」
店主が横から口をはさんだ少年を救世主とばかりに見つめている。早くこいつを連れていってくれ、という切実な願いがありありと目に浮かんでいた。
その目に浮かんだ色を見てアークは小さくため息をつくと、まだまだ遊びたそうにしているジョイスに声をかけた。
「ジョイス、行くぞ」
「え〜!? もう一回!」
どこのだだっ子だ。
…と言いたくなるのを抑えて、アークはあくまでも冷静に諭そうとする。ジョイスのした行動の責任は全て自分に回ってくる。下手に機嫌を損ねて回りに迷惑をかけてもいけない。
(って、これじゃまるで俺が保護者みたいじゃないか)
無理もない。親が違うとは言え、アークは2歳年上。兄として面倒を見るのは仕方のないことだ。サリアからも口をすっぱくして言われ続けてきた。
「おい行くぞ。まだ用事が済んでないじゃないか」
「ええーっ? ちょっと待ってくれよ。あともう一回だけやらせてくれ! あと一回!」
パチンコを持っている腕をつかんで露店を後にしようとするアークに、ジョイスは足をふんばって抵抗する。その振る舞いはとても15歳のものとは思えない。
2人組のうち一方が片方を引っ張れば、もう片方が引っ張り返す。
しばらく無言の戦いが繰り広げられたあと、とうとうアークはジョイスの手からパチンコを取り上げた。
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