[携帯モード] [URL送信]

セブンス・リート


「なんだアークか」
「なんだはないだろ」
「兄ちゃん、この子の連れかい?」

店主が横から口をはさんだ少年を救世主とばかりに見つめている。早くこいつを連れていってくれ、という切実な願いがありありと目に浮かんでいた。

その目に浮かんだ色を見てアークは小さくため息をつくと、まだまだ遊びたそうにしているジョイスに声をかけた。

「ジョイス、行くぞ」
「え〜!? もう一回!」



 どこのだだっ子だ。



…と言いたくなるのを抑えて、アークはあくまでも冷静に諭そうとする。ジョイスのした行動の責任は全て自分に回ってくる。下手に機嫌を損ねて回りに迷惑をかけてもいけない。

(って、これじゃまるで俺が保護者みたいじゃないか)

無理もない。親が違うとは言え、アークは2歳年上。兄として面倒を見るのは仕方のないことだ。サリアからも口をすっぱくして言われ続けてきた。

「おい行くぞ。まだ用事が済んでないじゃないか」
「ええーっ? ちょっと待ってくれよ。あともう一回だけやらせてくれ! あと一回!」

パチンコを持っている腕をつかんで露店を後にしようとするアークに、ジョイスは足をふんばって抵抗する。その振る舞いはとても15歳のものとは思えない。

2人組のうち一方が片方を引っ張れば、もう片方が引っ張り返す。
しばらく無言の戦いが繰り広げられたあと、とうとうアークはジョイスの手からパチンコを取り上げた。


[*前へ][次へ#]

2/4ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!