セブンス・リート
1
小さな木彫りの置き物が乾いた音を立てて飛んでいった。
「――っしゃあっ!連続ゲット!」
「おぉ、上手いねぇ。ほら、6つ目だ」
手のひらに乗せられた犬のような置き物を見て、ジョイスは満足そうな顔をした。
その手には木の枝にゴムを張っただけの簡素なパチンコが握られている。的当ての露店を開く店主の手作りだった。
「はい、もう一回」
ジョイスがポケットから硬貨を取り出すのを見て、店主は慌てて棚に並べられた景品を見た。やたらと命中率の高い客によって、置かれた景品は次々となくなっていく。
景品の一つ一つ――多くは男がまき割りの際に余った木くずで作った置き物だ――に値が張るわけではないのだが、これ以上持っていかれると商売が成り立たない。
「おい、まだやる気かい?これ以上やられちゃあ俺も商売上がったりだよ」
「別にいいだろ〜。オレが景品バンバンとって、この店宣伝してやるよ」
男の不安そうな声にはつゆほども意に介さず、ジョイスは再び硬貨を渡そうとした。
「…ジョイス、もういいだろ。結構遊んだじゃないか」
ふいに背後から声がした。
ジョイスが振り向くと、アークが疲れたような表情で立っている。
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