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セブンス・リート


触れるだけであっという間にはじけて消えてしまいそうな危うい世界の中で、確かに歌声は響いていた。
ときに高く、ときに低く、ゆるやかに、そして流れるように歌は続いていく。

(……きれいだな)

少年は単純にそう思った。
歌詞もよく分からない曲だったが、音は優しく少年の耳を打った。

音程がどうだとか、声の通りがどうだとか、技術的な問題はどうでもよかった。
ただ、本当にきれいで、思っていることが心の底からそのままの形で湧き出てきたような歌声だった。

本当はいつまでも聞いていたいくらいだったが、今日はそうもいかない。
この家の主の要請は、この歌声の主を階下まで連れてくることだからだ。
少年は小さくため息をつくと、声が聞こえてくる方向に顔を向けた。

2階に3つあるうちの部屋の1つである。声はそこから聞こえていた。

流れてくる歌声に当初の目的を忘れそうになって、少年は慌てて頭をぶんぶんと振った。
しばらく部屋と廊下の境目で立ちつくしていたが、すぐに口元を引き結んで、2つの空間を隔てる敷居をまたいだ。


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あきゅろす。
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