セブンス・リート 18 「さて、アークも正気になったことだし、ちゃっちゃと用事済ませちまおうぜ――」 どこか楽しそうにアークの方を振り向いたジョイスは、次の瞬間響いた音に飛び上がった。 鐘の音だ。 ゴーン、ゴーンという音が一定のリズムで強い波となって空気を震わせている。 「もうこんな時間か。ぐずぐずしてたら鐘が鳴っちゃったな」 アークが通りの反対側にある時計屋の柱時計を見て言った。 準備に追われる人々が手を止めて、響き渡る鐘の音に耳を澄ます。 若い夫婦は生まれたばかりの赤ん坊を抱いて目を閉じ、はしゃぎまわっていた子供たちも動きを止めて顔を上げた。 鐘の鳴る方角に向かって両手を組み合わせ、頭を垂れている老人もいる。 壮麗な鐘の音が、1つ、また1つと重なるにつれて、人々の顔に笑みが浮かんだ。 最後の1音は前の音よりも長々と響いた。音が空気を震わせ、やがてその震えがおさまっても、心の中では永遠に鳴り続けているような、そんな余韻を残して。 [*前へ][次へ#] [戻る] |