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セブンス・リート


トン、トン、トンという音が聞こえてくる。それと同時に、ギシギシという何かが軋む音も。

「ジョーイ―スー?」

音の正体は、少年が上る階段が立てる悲鳴だった。
何十年も前に建てられた年季の入った家である。そろそろ建てかえた方がいいだろうに、この家の持ち主は無頓着だった。

家は家でも、もう1つの「家」に心を傾けているからである。

「ジョイスー? どこいったー?」

少年の声がだんだんと大きくなる。2階に上がってきたのだ。
誰かを探しているらしく、お世辞にも広いとは言えない2階のフロアをギシギシという音とともに歩き回っている。
床の軋む音はしばらく続いていたが、次の瞬間に、ふと、静かになった。

少年の耳に歌声が飛び込んできたからである。
時刻は早朝。少年の住む下町ではそろそろ牛乳売りがやってくる時間である。
あと数分もすれば町の住人も目を覚まし、活気づいてくるだろう。

そんな、朝と夜の境目。

 朝の喧騒が始まる前の静寂。
 草木が朝日に頬を染め、ウサギが穴蔵から顔を出し、人は重い瞼を持ち上げる、そんな時間。

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あきゅろす。
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