桜の下での甘い誓い ひらひらと舞い落ちる桜。 それは、春の訪れを知らせるものだった。 「もう4月になりますねー」 ヴァリアーのアジトの窓から外を眺めながら、フランが呟いた。 「それがなんだよ?」 隣に座っていた金髪の青年、ベルが返す。 「別に、『1年』って早いなーって思っただけですよー」 「しし、何?いきなり唐突にさ」 「あー、ベルセンパイ覚えてないんですかー?今日って、ミー達が初めて会った時から丁度1年経った日なんですよー」 「あー…」 そういやそうだったな、とベルが呟く。 「で?なんかしたいわけ?」 「んー…そうですねー」 首を傾げ、フランが少し考え込む。 数秒が過ぎて、フランがポン、と手を叩く。 「じゃあ、お花見でも行きませんかー?」 「お花見、ね。まぁ、いいぜ。でもあんま準備出来ねぇから、桜見ながら公園歩く程度でいい?」 「!も、もちろんですー!」 フランはOKしてくれるとは思っていなかったらしく、かなり驚いたようだった。 あまりに喜ぶフランを見て、ベルはいつもの怪しい笑みではなく、クスリと笑った。 「んじゃあ、行くか」 「はーい!」 2人はアジトから出た。 少し歩くと、満開の桜が咲き乱れる公園に着いた。 「わぁー、綺麗ですねー」 フランが目を輝かせながら言う。 ベルも「そうだな」と言いながら桜の木を見上げた。 そして数分間桜道を歩く。 その間、ベルとフランは他愛のない会話を楽しんでいた。 「でな、その時スクアーロがさー…」 「えー、それ本当ですかー?」 「ししっ、俺が嘘吐くと思ってんの?」 「思ってませーん」 笑い合いながら、楽しい時間を過ごした。 桜道を抜け、既に日は傾いていた。 「あ、もう日が沈みますねー」 「だな。もう帰んねーと」 少し名残惜しそうに、ベルが言う。 フランも、少し寂しそうな顔をした。 「なー、フラン」 「はいー?何ですかー、ベルセンパ…」 ふわりと香る、ベルの匂い。 フランの言葉を遮るようにベルの唇がフランの唇を覆う。 フランは驚いたように目を見開いていたが、時間が経つにつれゆっくりと目を閉じた。 少しして、唇が離れる。 「ベル、センパイ…?」 「しし、フラン」 「はいー」 「来年も、ここに来ようぜ」 「え?」 フランが聞き返すと、ベルは不敵な笑みを浮かべながら、そして自信満々に言った。 「来年も、ここでこの桜を見ようぜ。2人で」 「ベルセンパイ…。当たり前ですー!」 ぎゅ、とフランがベルに抱き着く。 ベルはそんなフランを、愛しそうに抱き締め返した。 桜の下での甘い誓い (絶対に離さない) (何があっても) (そしてまた2人で見よう) (この美しい、桜の花を) [*前へ][次へ#] [戻る] |