転入生
「ねぇねぇ、知ってる?」
「知ってる知ってるー」
「転入生がうちのクラスにくるんでしょー」
「時期はずれだよねー」
「(・・・転入生?)」
02転入生
「ねぇねぇ、快斗!知ってるー?」
「転入生の事だろ?」
「快斗、知ってたんだ」
「バーロォ、教室中で言ってたら嫌でも聞こえてくんだろ」
そう言って周りを見た。
男も女も関係なしに"噂の転入生"とやらの話で持ちきりだった。
それよりも新聞読んでるこっちの身にも成ってもらいたい。
「ほらっ!お前ら席に着けー」
担任が勢いよくドアを開け、席に着くように促した。
なんとなく興奮気味なのは気のせいにしておこう。
そんな事よりも次の予告の事を考えなければ。
(・・・どうせ転入生つっても根暗か、ゴリラだろ)
なんて勝手に思い込み、また新聞へと目を移した。
「皆もう知っていると思うが、ウチのクラスに転入生がくることになった。
仲良くしてやれよ!」
「先生、早くっ!」
「まぁそう急かすな。
じゃあみょうじ、入ってきていいぞ。」
扉が開いた瞬間、一気に静まる教室。
そんなクラスの様子が気になり、新聞から目をそらし、ちらりと横目で見た。
入ってきたのは間違いなく女で、薄茶色の髪を棚引かせ、ゆっくりと教壇の上へと立った。
大きな瞳がそっと全員をみる。
『みょうじなまえです。久しぶりに帰ってきて、分からない所が沢山有ると思うので教えてくださると嬉しいです。これから宜しくお願いします!』
男女共に歓声を上げ、拍手を彼女に送っていた。
青子なんかすごく嬉しそうだ。
そんな青子を横目で見て、途中まで読んでいた新聞に再び目を移した。
「んでみょうじの席は・・・」
「俺俺、俺の隣開いてますっ」
「私の隣もっ!」
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