夢の硝子玉 8 * 「なぁ、ダルシャ、これから先どうするんだ?」 「そうだな…この町にいても仕方がなさそうだが…… 問題は、どこに行くか…だな。」 そう言いながら、ダルシャは頬杖を着いた。 ラスターとフレイザーの船酔いも次の日にはすっかり良くなり、一行は早速願い石についての情報集めに取りかかったが、何ひとつ有力な手掛かりが掴めなかった。 ここ数日、フレイザーとダルシャは剣の稽古に明け暮れ、その他の面々は暇を持て余していた。 「そういえば、ダルシャはこの大陸に親戚がいるって言ってたよね?」 「あぁ、もう何年も会っていない叔母がいるんだ。」 「じゃあ、そこに行ってみようよ! 僕、貴族のお屋敷なんて行ったことないし…」 「それは良いわね! でも、こんな大勢で押しかけたらお邪魔かしら?」 「いや、構わない。 叔母は天真爛漫な性格だから、きっと歓迎してくれると思う。」 「わぁ!じゃあ、決定だね!」 セリナとエリオットは子供のようにはしゃぎ、皆の顔に笑みが浮かんだ。 「俺は行かない…」 「えっ!?」 明るい空気が、ラスターの発した一言で緊迫したものに変わった。 「行きたけりゃあんたらだけで行きな。 俺はそんな所、絶対に行かないからな。」 ラスターの言葉は、さらにその場を嫌な雰囲気に駆り立てる。 「じゃ…じゃあ、その親戚の住む町まで行く事にしたらどうかな? どうせ、これから先の行き先は決まってないんだから。 で、宿屋に泊まって、親戚の家にはちょこっと遊びに行くだけ。 あ、もちろん、ラスターはいやなら行かなくても良いんだよ。 ……それなら良いでしょ?」 エリオットの提案に、ラスターはなにも言わずその場を離れた。 「……どうやら、彼は行きたくなさそうだな。」 「でも、何も言わなかったってことは、さっきの僕の案に反対はしないってことだと思うよ。」 「内心では、私達がお屋敷にお邪魔するだけでもいやなんでしょうけど…」 「……ダルシャ、どうする?」 「そうだな…どうしたものか…」 ダルシャは、遠くをみつめ深い溜息を吐き出した。 [*前へ] [戻る] |