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夢の硝子玉

「すごいもんだな!」

眼下の山を眺めながら、ダルシャは少し興奮気味に呟いた。



「今日はこのくらいの高さだけど、以前はもっと高くを飛んだんだ。
しかも、ものすごいスピードでな。」

「これよりももっと高く…」

ダルシャは、とても信じられないといった風に頭を振った。


麓までは数時間かかった。
普通に山道を歩いていたら、きっと日没になっていたことだろう。



「エリオット、あそこに町が見えるぞ!
けっこう遠かったな。」

「エリオット、大丈夫?
疲れたんじゃない?」

「う、うん…ちょっと…」

エリオットの力のない声に、セリナが不安なものを感じた時、大木の高さが急激に下がった。
一行は、咄嗟に大木にしがみつく。



「エリオット、大丈夫なの!?」

「あ…あぁ、ごめん…大丈夫だよ。」

その声は先程よりもさらに弱弱しいものだった。



「エリオット、下へ降りて!」

五人を乗せた大木は、がくんがくんとぎこちなく高度を落とし、ようやく地面に着地した。
それと同時に、エリオットの身体はその場に倒れ込んだ。



「エリオット!!」







「う…うぅん…」

「エリオット!大丈夫!」

エリオットの瞳がゆっくりと開いた。



「セリナ…ここは…?」

「ここは、ゴーシュリーの町…ほら、あの山の麓の町の宿屋よ。」

「あ…あぁ…思い出した。
でも、僕、どうしてここに…?」

「あなたは魔力を遣いすぎて倒れたのよ。」

セリナはそう言いながら、エリオットの髪をそっと撫でる。



「ちょっと無理しすぎたな。
あんな大きな木に人間五人運んだんだから。」

セリナの後ろから顔を出したラスターが口を挟んだ。



「……そうなの?」

エリオットは虚ろな目でラスターをみつめた。



「医者の話じゃ、数日は休んだ方が良いだろうってことだったぜ。」

「僕…早く山を降りたかったんだ。」

「話はセリナから聞いたよ。」

セリナとエリオットは獣人の子供達と仲良くなりすぎて別れが辛くなり、それで一刻も早く、山を降りたかったのだと言う。



「だからってこんな無理しちゃいけないな。
って、あんな大きな木を探し出した俺も悪いんだけどな。
魔法がそんなに体力を消耗するものだとも知らなくて…ごめんな。」

「ううん、僕も知らなかったんだもん。
ラスターは悪くないよ。」

そう言われたラスターは少し照れたような笑顔を浮かべた。



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あきゅろす。
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