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夢の硝子玉

「やはりそうだったか…」

「力になれずにすまないな。
あの願い石は数年前にこの先の山の中で偶然みつけられたものなんだ。
しばらくして俺達は、願い事を決め、石に願った。
だが、それは叶えられる事はなかった…それで、双子石の方だとわかったんだ。」

「そうだったの…
それで、アルディ達は何を願ったの?」

「その時、病気だった長の病気が治るようにってな。
だが、残念ながら…」

「それで、父さんが新しい長になったんだ!」

「えっ?それじゃあ、アルディはこの村の長なのか?」

アルディは黙って頷いた。
そういえば、村にいた獣人達の中でもアルディは一際逞しい体格をしており、家も一番立派だということに五人は思い当たった。



「アルディさん、明日、願い石を見せてくれる?」

「あぁ、良いぞ。皆で祠に行こう。」

「ありがとう!楽しみだなぁ!」


双子石とはいえ、初めて見る願い石との対面に胸を躍らせながら、その晩、一行はアルディの家に泊めてもらうことになった。







「あそこが、願い石の祠だ。」

次の朝、アルディとカークが一行を案内したのは、村から程近い山の中腹にある小さな祠だった。



「いよいよ、願い石とご対面だね!」

「どんな石なのか楽しみね!」

アルディは、祠の扉を開け、皆をその中へ招き入れた。



「あれ?鍵はかかってないの?」

「そんなものはないさ、ここには勝手に持ち出そうなんて考える奴はいないからな。
これが双子石だ。」

アルディが指差す先には、台座に乗せられた子供の拳大ほどの青い石が置かれてあった。



「へぇ、これが双子石か…綺麗だけど、なんだか硝子みたいだな。」

「ラスターの言う通り、宝石というよりは硝子のようだな。」

「遠慮しないで手に取ってみろよ。」

「触っても良いの?」

アルディは微笑みながら頷く。
セリナは、双子石を手に取ると、両手で包み込むようにして目を瞑った。



「感じる…なんといえばいいのかよくわからないけど…すごく懐かしい感じ。
間違いないわ。
ひっぱられるような感じを受けていたのはこの石からだわ。」

皆が石に夢中のなっている時、エリオットとフレイザーだけは少し離れた所で身動き一つせずに突っ立っていた。

なぜならば、その石は二人がみつけたあの五色の石の一つとそっくりだったのだから…



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