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夢の硝子玉
10
「まさか、魔物にやられちゃったんじゃないよね?」

「馬鹿言え。
見ろ、そんな形跡はどこにもないぞ。
もしかしたら、あいつ、一人で先に行ったんじゃないか?」

「なんでだよ。
セリナがいなけりゃ願いの石の在りかはわからないんだぞ。
そんなことするわけないだろ!?
それに荷物も置いたままだぞ。」

「じゃあ、やっぱりダルシャの身に何かが…!」

エリオットのその一言で、その場に緊張感が漲った。



「とにかく、ダルシャを探しに行こう。
皆、離れるなよ!」

四人は身を寄せながら、ダルシャを探しに出掛けた。
探すとは言っても、あては全くない。
目が覚めた時に誰もいなければ、顔を洗いに泉の方へ行くと考えるのが普通だが、それならば泉から戻る四人がダルシャに出会わないはずがない。
つまり、ダルシャは泉の方へは行っていないということになる。



「やっぱり、この先に行ったって考えるのが自然だよな?」

フレイザーの問いかけに三人は同意し、その方向へ進むことにした。
魔物を刺激しない程度の声でダルシャの名を呼びながら、四人は注意深く進んで行く…
幸いなことに、その間はラスターとフレイザーの力だけでなんとか倒せる魔物の雑魚が飛び出して来ただけだった。



「それにしても、ダルシャの奴、一体、どこに行ったんだ?」

もう二時間近く歩いているというのに、ダルシャの形跡はどこにもみつけることは出来なかった。



「こんなに探してもいないなんて…ん?」

「なんだ?どうかしたか?」

「しっ、黙って!」

フレイザーが皆を制止し、耳を澄ます…



「……あ!!」

四人は、一斉に顔を見合わせた。



「こっちだ!」

四人は魔物のことも忘れ、今、耳に届いた声の方へ駆け出した。



「いたぞ!あそこだ!
ダルシャーーーー!」

フレイザーが一際大きな声をあげると、そこにいた人物がゆっくりと振り返る…
そして、顔を輝かせたかと思うと大きく手を振りながら四人の元へ走り寄って来た。



「ダルシャ、無事だったか!」

「皆…みつけてくれてありがとう!」

よほど嬉しかったのか、その顔にはいつものクールなダルシャとは違い、子供のような無邪気な笑顔が浮かんでいた。



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あきゅろす。
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