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夢の硝子玉

「ブライアンは、二日程前にこの町に来たそうだ。
自分は占い師で、ディーラスに向かってるって言ってたらしいから間違いないと思う。
それと、彼の風貌についても今度はしっかりと聞いてきたぞ。」

ダルシャは自慢げにそう言うと、ブライアンの容姿について語り始めた。
年はダルシャと同じ位で、身長はダルシャ程ではないが低い方ではなく、細身で華奢な体付きをしており、肩に着く程度の長さの黒い髪だとのことだった。



「やっぱり、ブライアンは本当に願い石を探してたんだね!」

「二日前なら十分追い越せるわ!」

セリナとエリオットは嬉しそうに声を弾ませ、ラスターだけは苦虫を噛み潰したような表情で黙りこんでいた。



「……それが……問題はそこなんだ…」

「……どういうこと?」

不意に顔を曇らせたダルシャに、セリナが問いかける。



「実はな、ブライアンの相手をした女性が、ブライアンのことをたいそう気に入り、金を渡したというんだ。
今回、ブライアンは願い石のことは言わず、ただディーラスに行くと言ってたようだが、歩いていくのは辛いとか金がないとか言っていたそうだ。
それで、その女性は彼に馬車に乗って行くようにと、それなりの金を渡したらしい。」

「なんだ、そいつは金もないのにまた女の所に行ったのか。
全く、ろくな奴じゃないな!」

ラスターは吐き捨てるようにそう言った。



「でも、それじゃあ、急がないといけないわね。」

「急ぐと言っても、馬車の時間は決まっている…
こうなったら、ヘイレンからが勝負だな。
ヘイレンから先は徒歩でしか行けない。
その道程を頑張って歩いて二日の遅れを取り戻せるかどうかが鍵だろうな。
それと、ブライアンがどの程度願い石の場所を詳しく知ってるかがわからない。
彼は占い師だが、こちらには石の巫女であるセリナがいる。
セリナが先に石の在り処を感じてくれれば…」

三人の視線が、一斉にセリナに集まった。



「そ…そんな…
そりゃあ、もちろん頑張るけど、私はごく近くに行かないとわからないんだから、あんまり期待しないでよ!」

「大丈夫だよ!
セリナならきっとブライアンより先にみつけられる!」

「そうだとも!」

エリオットとダルシャはセリナに向かって微笑み、それに対してセリナは、困ったような顔をして俯いた。



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