夢の硝子玉 2 「セリナ!!」 二人の笑い声で気が付いたのか、ラスターが起きあがり目を丸くして二人をみつめる。 「セリナ!そいつから離れろ!」 ベッドから立ち上がろうとするラスターの腕を、ダルシャが掴んだ。 「どうやら、君の勘違いだったようだ。 彼女はここでエルフ達に保護されてたそうだぞ。」 「なんだって!?」 その言葉に、ラスターはダルシャの顔をじっとみつめる。 「ダルシャ、あんた、さっきの話を聞いてたのか?!」 「あぁ、私が最初に目覚めたのでな。 どうやら君の身体がクッションになってくれたらしい。 おかげで私は見ての通り、なんともない。すまなかったな。」 そう言って、ダルシャはフレイザーの方に片目を瞑って微笑んだ。 ダルシャは、ほとんど怪我もしてないらしく、服が少し破れたり汚れてる程度で、何事もない様子で部屋を歩いていた。 「ひどいなぁ… それでエリオットは?」 「……僕なら大丈夫だよ。」 フレイザーの背後からエリオットの声が聞こえた。 フレイザーは、後ろを振り向こうとしてまたうめき声を上げ、エリオットは慌てて前に回り込んだ。 「フレイザー、大丈夫!?」 「動いちゃ駄目です。 あなたが一番酷い状態だったんですよ。」 「……そうみたいだな。」 フレイザーは眉間に皺を寄せながら、ぽつりと呟く。 「おい、ちょっと待てよ。 セリナが保護されたっていうのは…」 「ラスター、久しぶりね!何年ぶりになるかしら? あなたがここに運ばれて来た時はびっくりしたけど…でも、元気そうで良かったわ!」 「……元気じゃないんだけど…」 「あ…そうだったわね。 あなた、足の指が折れてたのよ。 でも、大丈夫。すぐに良くなるわ。」 (ラスターの言ってた通り…セリナってなんだか、変わった子だな。 それにすっごい美人だ…) フレイザーは、ラスターに向かってにっこり微笑むセリナを見ながら、顔を綻ばせた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |