[通常モード] [URL送信]

夢の硝子玉

「セリナ!!」

二人の笑い声で気が付いたのか、ラスターが起きあがり目を丸くして二人をみつめる。



「セリナ!そいつから離れろ!」

ベッドから立ち上がろうとするラスターの腕を、ダルシャが掴んだ。



「どうやら、君の勘違いだったようだ。
彼女はここでエルフ達に保護されてたそうだぞ。」

「なんだって!?」

その言葉に、ラスターはダルシャの顔をじっとみつめる。



「ダルシャ、あんた、さっきの話を聞いてたのか?!」

「あぁ、私が最初に目覚めたのでな。
どうやら君の身体がクッションになってくれたらしい。
おかげで私は見ての通り、なんともない。すまなかったな。」

そう言って、ダルシャはフレイザーの方に片目を瞑って微笑んだ。
ダルシャは、ほとんど怪我もしてないらしく、服が少し破れたり汚れてる程度で、何事もない様子で部屋を歩いていた。



「ひどいなぁ…
それでエリオットは?」

「……僕なら大丈夫だよ。」

フレイザーの背後からエリオットの声が聞こえた。
フレイザーは、後ろを振り向こうとしてまたうめき声を上げ、エリオットは慌てて前に回り込んだ。



「フレイザー、大丈夫!?」

「動いちゃ駄目です。
あなたが一番酷い状態だったんですよ。」

「……そうみたいだな。」

フレイザーは眉間に皺を寄せながら、ぽつりと呟く。



「おい、ちょっと待てよ。
セリナが保護されたっていうのは…」

「ラスター、久しぶりね!何年ぶりになるかしら?
あなたがここに運ばれて来た時はびっくりしたけど…でも、元気そうで良かったわ!」

「……元気じゃないんだけど…」

「あ…そうだったわね。
あなた、足の指が折れてたのよ。
でも、大丈夫。すぐに良くなるわ。」



(ラスターの言ってた通り…セリナってなんだか、変わった子だな。
それにすっごい美人だ…)

フレイザーは、ラスターに向かってにっこり微笑むセリナを見ながら、顔を綻ばせた。



[*前へ][次へ#]

2/5ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!