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夢の硝子玉
25




「畜生!!」

フレイザーは、腹立たしげにそう言うと、テーブルを拳で叩きつける。



男の子の話から、それはジャックのことだと推測された。
ジャックらしい男が、少年に金を渡し、エリオットを広場まで連れて来るように言いつけたとのことだった。
その後、町のはずれで黒いローブを来た男と、頭巾をかぶった女を見たという者がみつかった。



「……皆…すまない…
俺があんな奴を連れて来たばっかりに…」

フレイザーは、三人に向かって頭を下げる。



「でも…フレイザー…
まだ、セリナを連れていったのがジャックだって決まったわけじゃないよ。
だって、黒いローブを着てる男なんて…その…ジャックだけじゃないし…」

「いや、ジャックに決まってる。
あの子供は、そいつの顔は見えなかったって言ってた。
あいつはいつも顔が見えないように深くローブをかぶってる。
あの野郎…ずっと、どこかに隠れてセリナのことを狙ってたんだ。
やっぱり、セリナが目的だったんだ…!」

フレイザーは肩を震わせ、拳を握り締めた。



「うかつだった…
その少年は身体も力も弱いと聞いていたから、まさか自らがそんな思いきった行動をするとは思っていなかった…
だが、いくら力が弱くとも、セリナよりは強いだろうからな。
セリナが一人になる機会をじっとうかがっていたのかもしれないな。」

「じゃ、もしかしたら昨夜も……」

「昨夜?
ラスター、昨夜、何かあったのか?」

「い…いや、なんでもない。
それより、こんな所でのんびりしてて良いのか?」

「のんびりしてるわけではない。
ただ、船にはその二人は乗ってないということだった。
町のはずれで見られたということはこの先の町に向かったと思われるが、この先は二又になっているらしい。
そこへは馬車が出ていると言う事だから、明日、二手に別れて町へ向かう。
今から追い掛けたのでは追いつけないからな。
まさか彼らも夜通し歩いて行くとは思えない。きっとどこかで野宿してるはずだ。
それなら、馬車で向かえばきっと追いつける。」

「ちょっと待っててくれよ。」

そう言い残しラスターは部屋を飛び出ると、すぐにまた駆けこんで来た。



「地図を借りて来たぜ。
ここから…あ、分かれ道はここだな。
海側の町がアンゲラス、山側の町がザルゴスか…
奴の目的地がわからないんだから、ここからは勘しかないな。
なぁ、フレイザー、あんた、どっちが良い?」

「どっちでも良いよ。」

フレイザーは地図さえ見ることなく、なげやりにそう答えた。



「よし、それじゃあ、俺とエリオットはアンゲラスに行くから、ダルシャとフレイザーはザルゴスの方を頼む。」

勝手に仲間の振り分けと行き先を決めたラスターに、フレイザーとダルシャは複雑な表情で頷いた。



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あきゅろす。
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