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夢の硝子玉
23
「エリオット、私ならここにいるから大丈夫よ。
何だかわからないけど、行ってあげたら…?」

「でも……
ねぇ、ボク…どんな用事なの?」

エリオットは、身をかがめ子供の顔をのぞき込む。
しかし、子供は困ったような表情を浮かべ、何も言わなかった。



「エリオット、行ってあげて。
この子、困ってるわよ。
私はここにいるから…」

「……じゃ、すぐに戻って来るからね。」

セリナに気を遣いながら、エリオットは少年に手を引かれ、商店街の向こうへ駆け出した。







「……騒いだらすぐに刺す。」

エリオットと離れてすぐ、セリナの背中に固い物が押し付けられた。
セリナの腕を掴みながら後ろに立つのは、背の高さもセリナとは僅かしか違わない黒いローブを着た少年だった。



「……わかったわ。」

「その路地を曲がるんだ。」

少年に言われるまま、セリナは狭い路地へ入りこんだ。







「あれ〜〜?」

商店街を抜けた所で、子供はあたりを見回した。



「どうしたの?
何を探してるの?」

子供は、エリオットの言葉に返事をせずきょろきょろとあたりを見まわしていたが、やがて、唐突にエリオットから手を離した。



「いないからいいや。」

「いない?誰がいないの?」

子供は黙って首を振り、駆け出した。



「あ、待ってよ!」

エリオットはしばらく子供の後を追ったが、すぐに考え直し、商店街へ引き返した。







「あ〜あ、ラスターの奴、爆睡してるよ。」

「まぁ、良いじゃないか。
しかし、あの程度の酒で眠ってしまうとは彼らしくないな。」

「そうだな。なんだか今日は朝からやけに眠そうだったもんな。」

フレイザーとダルシャが酒を飲みながらのんびりと寛いでいる所へ、血相を変えたエリオットが駆けこんだ。



「ダルシャ!セリナは来てない?」

「セリナ?セリナは君と一緒にいたんじゃないのか!?」

「……やっぱり、ここにも来てないんだね…」

エリオットの顔がにわかに曇る。



「エリオット、どうした?
セリナに何かあったのか?」

「……セリナがいなくなったんだ。
僕が少しだけ離れた隙に…商店街も港の方も探したんだけど、どこにもいないんだ!」

「なんだって!?」

ダルシャは立ちあがり、エリオットと共に外へ飛び出した。



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あきゅろす。
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