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夢の硝子玉
13




「ラスター、ちょっと良いか?」

「なんだよ?」

ダルシャはラスターを庭先に呼び出した。



「皆に聞かれちゃまずい話なのか?」

「あぁ、ちょっとな……
……ラスター……もしも君がここへ残りたいなら、残っても構わないのだぞ。」

「えっ!?」

ラスターは口を開けたまま、ダルシャの顔をじっとみつめた。



「セリナの事は、命に代えても私が守る。
願い石を見つけ、私の呪いが解けたら、すぐにセリナをエルフの里に送り届けよう。
フレイザーとエリオットのことも、私が責任を持って面倒をみよう。
……君は、ここにいれば、願い石等みつけなくても幸せに暮らせるのではないか?
君だけではなく、オスカーさんにとってもな…」

「ダルシャ……」

ラスターは、心の奥に隠していた気持ちを言い当てられたように、困惑した表情を見せた。
ここへ来てからの日々の出来事が、ラスターの脳裏に描き出される。
家では毎日のように父親からの暴力を受けていたが、オスカーに打たれた頬の痛みはそれとはまるで違うものだった。
朝早くから汗を流して働いたのも、働く事を心地良いと感じたのもラスターにとっては初めてのことだった。
身近に信頼出来る者がいうということがこれほど大きな安心感と幸せを与えてくれることも、ラスターはオスカーのおかげで初めて知ることが出来たのだ。
彼と一緒にこのままずっと暮らしたいと考えることもあった。
しかし、それは口に出してはいけないことだとも考えていた。
そんな心の中を、ダルシャにズバリと指摘されてしまったのだ。
ラスターは、どう答えて良いのかわからず、ただ黙って俯いた。



「おいおい…そんな厄介な奴、置いていかれちゃ困るな。」

後ろからかけられた低い声に、二人は同時に振り向いた。



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