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夢の硝子玉





「なぁ、なんで、あんたらはここにいるんだ?
あの人は一体どういう人なんだ?
どこかで知り合ったのか?」

「それは、少しばかり時間のかかる話なんだ。
また夜にでもゆっくり話そう。
そんなことより、カインは大丈夫だったのか?
無事に、獣人の村に送り届けることは出来たのか?」

「あぁ、それなら安心してくれ。
無事に着いて、アルディも気持ち良く受け入れてくれた。
これからももしどこかで獣人をみかけたら連れて来てくれなんて言われたよ。
あ…そうだ、ダルシャ!
そんなことよりも、大変なことがあったんだ。
実はリュシーさんがな……」

フレイザーは、リュシーが船に乗りこんでいた事、リュシーは、ダグラスに連れられてダルシャの屋敷に向かったことを話した。



「なんだって!リュシーさんが、父に会いに……?」

ダルシャは大きく目を見開き、驚きを顕わにした。



「あぁ…なんだか知らないけど、急に思いついたみたいな感じだった。
あ…そういえば人間いつどんなことがあるかわからないとか、姉さんがどうとか言ってたな。」

「……そうか…
実は、私はああまり記憶がないのだが、父には双子の妹がいたらしいんだ。
つまり、リュシーさんの姉にあたる人達だな。
二人は、音楽の才能に秀でており、ベルーシアの音楽学校に留学していたらしいのだが、嵐だったか竜巻だったか…なにかそういうことに巻きこまれ、二人共同じ日に亡くなったらしい。」

「そんなことがあったのか…
とにかく、びっくりしたよ。
メイドさん達にも秘密で船に乗りこんだとか言ってた。
……リュシーさんがあんなことするとは思わなかったからな。」

ダルシャは、その話におかしそうにくすくすと笑う。



「あの人は意外とそういうところがあるんだ。
若い頃は、ずいぶんと無茶なことをしたらしいよ。」

「そうなのか、そんな風には見えなかったけどなぁ…
あ、そういえば、ラスターはリュシーさんには会わなかったんだな。」

「あぁ…俺は貴族って奴が大嫌いだし…
……正直言うと、大きな屋敷って苦手なんだ。
自分の暮らしてた家を思い出すと…とてもいやな気分になっちまう。
俺はあんな酷い所に住んでたのに、こいつらはって…ひがみなんだよ。
でも…ダルシャの親戚なら、そんなにいやな奴じゃないのかもしれないな…」

フレイザーとダルシャは、ラスターの思いがけない呟きに、思わず、顔を見合わせた。



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