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夢の硝子玉

「あ、あそこだ!」

三人は、板切れに座ったまま夜を明かした。
振り落とされないように緊張していたためか、誰も眠る事はなかった。
やがて、朝日が顔を出す頃、三人の瞳にヨギラの町並みが映った。



「信じられない!
こんなに早くここに着くなんて!
あんた、たいしたもんだな。」

ラスターはエリオットにどこかうっとりとしたような視線を向けた。



「へへっ。こっちこそ、助かったよ。
君がこの町の方角を教えてくれなかったら、僕達、まだここには辿りつけなかったと思うよ。」

昨夜、言い争いをしていたのが嘘のように、二人はすっかり打ち解けていた。



「だけど…これからどうしよう?
腹減ったけど、俺達、全然金がない…」

「それに、ちょっと休みたいよね。」

「そうだなぁ…
働き口を探すにしてもすぐにはみつからないだろうし、売れるようなもんも持って…あ…!」

ラスターの視線が、フレイザーの懐中電灯に止まった。



「これなら売れるんじゃないか?」

「こんなものが…?」









「こんなことならもっといろいろ持って来るんだったな!」

「本当だね。
あれがこんなに高くで売れるなんてね。」

道具屋を訪ねた三人は、懐中電灯の他にフレイザーとエリオットの付けていた腕時計とフレイザーのネックレスを売りさばいた。
道具屋の親父は、こんなものは見た事がないとたいそう興奮し、ラスターが目を丸くする程の金額で買い取った。
ラスターによると、三人で二〜三ヶ月は宿屋暮らしが出来る金額だと言う。



「あんたら、一体どこであんなものを手に入れたんだ?」

「そ…それが、まだ記憶がなくて…」

「道具屋の親父も見たことがないってんだから、もしかしたらこの国のものじゃないのかもしれないな。」

「そ…そうだな。
異国の物なのかもしれないな。
そんなことより、ラスター、おまえはあんな所で何をしてたんだ?
家はあの近くなのか?」

ラスターは首を振った。



「俺…家を出て来たんだ。」

「家出……?」

「……元々、親父とはそぐわなかった。
親父は俺のことを憎んでるんだ…
なにかっていうと、毎日、喧嘩ばかり…
慣れてるとはいえ、俺ももういいかげん疲れちまって…」

「でも…親父さん、心配してるんじゃ…」

「心配なんかしてるかよ!
俺が出て行って、きっとせいせいしてるさ!」

語気を荒げるラスターに、二人は何も言うことが出来なかった。



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あきゅろす。
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