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夢の硝子玉
15




「お帰りなさい、ダルシャ。」

「ただいま…ラスターの具合はどうだ?」

「今日はずいぶん元気になったわ。
それより、エリオットが……」

「エリオットがどうかしたのか?」

セリナの話によると、今日のエリオットはどこか沈んだ様子で、何を話しかけても上の空だったのだと言う。
その原因に心当たりがないかと尋ねるセリナに、ダルシャは「きっと疲れが出たのだろう。」と答えるだけだった。



「それでエリオットはどうしたんだ?」

「このあたりを散歩して来るって、ついさっき出掛けたわ。」

「そうか…」



(無理もない…あんなことがあったのだからな…
この上、あの男達が魔法によって死んだことを知れば大変なことになる…)



「よぉ、ダルシャ。
何か面白い話は聞けたか?」

ダルシャの物思いをかき消すように響いた声はラスターの声だった。
セリナの言った通り、ラスターは声の調子からして昨日よりずっと元気だということが感じられた。



「いや、残念ながら…
この前のように運良くみつかることは稀なことだ。
じっくり探して行くしかないだろうな。」

「まぁ、それも仕方のないことだな。
迷惑をかけたが、俺はもう大丈夫だ。
明日にも出発出来るぜ。」

「そう急ぐことはない。
君は何日も具合が悪かったんだ。
途中でなにかあっては大変だから、もう数日は休んだ方が良いぞ。」

「お…俺はそんなにやわな身体はしてない!」

ダルシャは、語気を荒げたラスターをただ見つめるだけで、口を開かなかった。



「陽が暮れて来たな。
エリオットを探してくるよ。」

「じゃあ、私も…」

「いや、一人で大丈夫だ…」

そう言うと、ダルシャは部屋を後にした。



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