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夢の硝子玉
11
「……この…馬鹿野郎!」

男は、サムを激しく殴りつけた。
エリオットが顔を背ける中、激しい暴行は続き、サムがぐったりとし男の息が荒くなった頃、男は拳をさすりながら呟いた。



「……マーティ、こいつを始末しろ。」

「……や、やめてくれ…!
お、俺は……」

サムの顔が恐怖にひきつり、その口許はわなわなと震える。
マーティの様子を見て、赦してもらえないことを悟ったサムは、身体の向きを変えて走り出そうとした瞬間に、マーティのダガーによってその身体は貫かれた。

エリオットはその場にしゃがみこんで泣き出した。



「泣くんじゃねぇ!」

リーダー格の男の厳しい声が飛んだ。



「許してやってくれ。
その子はまだ子供なんだ。
ただ、怯えているだけだ。」

「うるせぇ!おまえは黙ってろ!」

ダルシャは、その言葉と同時に平手打ちをくらった。



「マーティ、あれを調べろ。」

男の指示によって、マーティがダルシャのポケットを調べ、そこになにもないことを知ると袋の中を調べ始めた。
幸い、ダルシャは必要な金しか持ってきていなかったため、財布の中にはそれほど大金は入ってはいなかったが、それなりの金貨は入っていた。
しかし、不思議なことに男は金貨をみつけた後も、さらに何かを探している。



「あ、あった!!」

「やめろ、それは…」

マーティがダルシャの袋の中から取り出したのは、アルディにもらったあの硝子玉だった。



「ほ、本当にあった!!」

「す、すげぇ…!」

「あの巫女の言うことは本当だったんだな。
畜生!サムがあんなことさえしなければ、まだまだみつけることが出来ただろうに…」

「これさえいただけば、おまえ達に用はねぇ…」

その時、ダルシャはエリオットが俯いたまま小声で呪文を唱えていることに気が付いた。
俄に空が暗くかき曇る。



「な、なんだ、この雲は…」

「なんだかおかしいぞ…
あ、まさか、こいつ…」

マーティがエリオットの詠唱に気付いた時、ダルシャは想いっきりエリオットに身体をぶつけ、二人の身体は折り重なるようにその場からふっ飛んだ。

その刹那、空から一条の閃光が走り、耳をつんざく轟音が鳴り響いた。
二人は、地面に突っ伏したまま歯を食いしばり、しっかりと目を閉じる。



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あきゅろす。
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