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夢の硝子玉
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「それならうちにあるぜ。」

カインの一言で夕食の席が驚きに包まれた。
皆で夕食を採りながら、ダルシャがここへ来た意図を話した時のことだった。




「カ、カイン…い、今なんて言ったんだ?」

「だから、石ならうちにあるって言ったんだ。」

「ほ、本当なのか?」

「あんたら…わかってんのか?
うちにあるのは願い石とは言っても、双子石の方だぜ。
……ちょっと待ってな。」

カインは立ち上がり、チェストの引き出しから石を持って戻って来た。



「そんな所に…」

驚きを隠せない一行の前に、カインは黄色い双子石を無造作に置いた。



「こ、これが願い石……」

ダグラスは、食い入るように石をみつめる。



「でも、双子石の方だぜ。
そんなもん、何の役にも立ちゃしない…」

「爺さん、もってみなよ。
見た目よりけっこう重いんだぜ。」

「触っても良いのか?」

「あぁ、もちろんだ。」

ダグラスは恐る恐る手を伸ばす。
ダグラスの指先にひんやりとした冷たい感触が走り、それを愉しむかのようににっこりと微笑むと、両手で包み込むように持ち上げた。



「おぉ…本当じゃ。
見た目は華奢な感じなのに質量はけっこうあるんじゃな。
双子石とはいえ、なんとも神聖な感じがするのう…」

「そう言われればその通りですね。
双子石もかけられた魔法を解除する力があるのだから、特別な石に違いないわけですし。
しかし、残念だ…またも双子石だったとは…」

ダルシャは、気落ちした表情で俯いた。



「なぁ、爺さんは、この森にある石が双子石だとは知らなかったのか?」

「もちろんじゃ。
わしはてっきりここには願い石があると思っていた。」

「それは仕方ないことかもしれないな。
俺が聞いた話だと、人間はみつけた願い石を俺達にくれたらしいんだ。
友情の証としてな。
その代わりに、俺の先祖は薬草の知識を与えたということらしい。
皆、この石が願い石だと信じてたんだ。」

「じゃあ、カインはなぜこれ双子石だと知ってるの?」

エリオットの質問にカインはわずかに顔を背け、小声で答えた。



「そ、それは…願いが叶わなかったからわかったんだ…」



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