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お題小説

私はそのまま、隣町の妻の実家まで走った。

昨夜とはうってかわって、今夜は雲が多い…
漆黒の闇の中を私は走り続けた。

「すみません!
開けて下さい!
マクシムです!」

力任せにドアを叩き続けた。
しばらくすると、ねぼけまなこの義父が現れた。

「マクシムさん!
こりゃあ驚いた!
こんな夜中に誰かと思えば、シャトランの覇者、マクシムさんじゃありませんか!
私達は、あなたの対戦を見にいってたんですよ。
おめでとう!!
まさか、本当に10連覇をなしとげてしまう人間がいるとは思わなかった!
本当に素晴らしい!
……しかし、一体、なぜこんな所に?
なにかあったのですか?」

「セリスは…アニーは、いますか?」

「セリス?アニー?
それは誰なんです?」

「私の妻と娘のセリスとアニーです!
私の妻と娘であり、そしてあなたの娘と孫だ。」

「私の娘と孫?
私には娘はいますが、セリスではなくアリスですよ。
それにアリスの夫はあなたじゃない。」

「わかっています!
セリスは、アリスの妹です。」

「マクシムさん、アリスには妹はいません。
私の娘はアリスだけだ。
あなたは誰かと思い違いをしているのです。」

「違う!
セリスはあなたの娘だ!
アニーは、あなたの孫だ!
私の大切な妻と娘なんだ!」

「な、なにをするんです、マクシムさん!」

頭に血が上った私は義父に掴みかかっていた。
しかし、私よりずっと体格もよく力自慢で知られてきた義父にこの私が敵うわけ等ない。

私は突き飛ばされ、地べたに無様に転がった。

「マクシムさん、あんた、きっと疲れてるんだ…
早く家に帰んな。」

義父は、私に哀れみのこもった視線を向けそう言葉を投げ掛けると、バタンとドアを閉めた。



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あきゅろす。
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