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お題小説





「イシドール、指の具合いはどうだ?」

「まぁまぁかな…」

「じゃ、そろそろ仕事場に出てみるか?
家にいるのも飽きただろう?」

「でも、おじさん…
俺の痣のこと…見られたんだろ…?
じゃあ、行っても無駄なんじゃ…」

「……親方に聞いてみな…」



(…そうか。
勝手に辞めたんじゃ、おじさんの顔が立たないよな…
親方に挨拶に行けってことなんだな。)

イシドールはその日、ゴーチェと港へ行った。
一週間ぶりのことだった。



「イシドール!もう良いのか?」

「あ…デニスさん。
この前は助けてくれてありがとう。」

「良いってことよ。
それにしても、おまえ、思いっきりやられてたな。」

「あぁ…情けない話だけど全く歯が立たなかったよ…」

「でも、まぁ、思ったより元気で安心したぜ。
まだ荷運びは大変だろうから船の掃除をやっときなよ。」

「あの…デニスさん…」

「なんだ?」

「……あの時、俺の背中の痣…見たんだろ?」

「あぁ、おまえ、すごいもん持ってんな!
あんなの初めて見たぜ。」

「初めて見たって……それだけかい?」

「なんだ?他に何かあるのか?」

「俺は……実は、呪われた一族の末裔で…」

「あぁ、その話ならゴーチェに聞いた。
だが、生憎と俺はそういう話は信じない性質でな。
それに…イシドール、忘れたのか?
この町は事情を抱えた者達が集まる町なんだ。
俺にだって事情はある。どんな事情かは言わないけどな。
だから、そんなこと気にする奴なんざいねぇ!
ここでは、おまえがどんな奴なのか…肝心なのはそれだけだ。」

「…デニスさん…ありがとう…!」

「礼なら俺じゃなくてゴーチェに言うことだな。
あいつは本当におまえのことを我が子のように思ってるんだな。
俺達にさんざんお前の昔話をしてくれたよ。
俺達は端からそんなこと気にしちゃいなかったのに、えらく一生懸命になってな…」

「おじさんが…?!」

「イシドールは俺の娘を命がけで助けてくれた恩人なんだ、本当に良い奴なんだってさんざん言ってたぜ。
…そういえば、ゴーチェにあんな可愛い娘がいるなんて知らなかったな。
おまえはあの娘と良い仲なのか?」



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あきゅろす。
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