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お題小説

夜中になるのを待って私達は小屋を出た。

町外れを通り、夜通し歩いた。

イシドールは小屋を離れる時も、何も言わなかった。
彼が今どういう心情なのかはまだよくわからない。

空が白んで来た頃、遠くに町が見えてきた。

私達が当初、薬を売ろうと考えていた大きな町だ。
しかし、その町にはイシドールを知る者達も訪れているかもしれないので、その計画は中止することにした。

私達は結局、日中はこの界隈で身を潜め、そして昨夜同様また夜になったら先へ進むことにした。

地図を見る限りでは、ここから先には小さな町や村が続き、賑やかな町へはけっこうな距離がありそうだ。

仕方がない。
薬を売るのはもう少し先の町にしよう。

昨夜は夜通し歩いて疲れていたのもあり、私達は木陰で横になった。

一眠りして私が目をさますと、イシドールとクロワはすでに起きていた。

「よく眠ってたな。」

「…起こしてくれたら良かったのに…」

「早くに起きたって、別にやることはないんだ。
寝てりゃあいいさ。」

「それもそうだな。」

イシドールはにっこりと微笑んだ。

私はその笑顔を見て、何かを思い出した…

そうだ!
クロワと同じなのだ…!

自分の住んでいた所から少し離れただけで、まるで別人のように変わったクロワ…

イシドールの笑顔を見て、私はその時のクロワを思い出し、そして彼があの場所を離れたことが間違いではなかったことを私は知った。

「何か食べましょうか?」

私達は持ってきたパンや缶詰で食事を採った。

「…ねぇ、イシドールはあの町には行ったことがあるの?」

「いや、ない。
俺はあのあたりからほとんど離れたことはないんだ。」

「じゃ、もしかして、すぐ近くの町にも行ったことないの?」

「あそこなら何度かはある。
俺がまだ小さい頃、俺達に親切にしてくれる家族がいて、その家に何度か連れて行ったもらったことがある。」

「そうだったの。
それで、その人達とはその後おつきあいはなかったの?」

「あぁ…何年かしてよその町に移っていった。
それ以来は、誰とも関わることはなかった…」

「……君のご両親はいつ頃、亡くなられたんだ…?」

「俺がまだ子供の頃さ…」

「それじゃあ、それからずっと一人で…!?
…………」

「クロワさん、どうかしたのか?」



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あきゅろす。
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