天使からの贈り物
13
*
「はぁーーー…」
食べかけの料理の前で、ジュリアンは大きな溜息を吐いた。
『なんだ、もう食べないのか?
おまえが食事を残すとは、珍しいこともあるもんだな…』
「当たり前だろ!あんなことがあったんだ。
スージーもあんなに落ちこんでたし…
……おいっ!まさか、スージーは結婚しないなんて言い出さないだろうな?!」
『そういえば、式は近いようだったな。
結婚を取りやめるとは言わないだろうが、あの状況では、もしかしたらしばらく延ばす事になるかもしれないな。』
「そんな…!」
『…自分のことを好いていた男が自分を殺そうとし、しかも、牢の中で自殺してしまったのだぞ…
気持ちの整理が着くにはある程度の時間が必要なのではないか…?』
「そりゃあ、そうだけど…
せっかく幸せがすぐそばまで来てるっていうのに…」
ジュリアンはそう言ったっきり、俯いて口をつぐんでしまった。
『……そうだ、ジュリアン。
ペリドットを掘りに行ってみたらどうだ?』
「今はそんな気分じゃねぇよ…」
『だからこそ、行くのだ!
ジュリアン…ペリドットの効果を忘れたのか?
あれは太陽の石と呼ばれる石だぞ…』
「太陽の……そうか!
ペリドットは気力を失ってる者に活力を与えてくれる石だったな!
そうだ、それにあの石は夫婦の和合を現す石だ!
今のスージーにぴったりの石じゃないか!
よし!行くぞ!
そうと決まれば腹ごしらえをしっかりしとかなくちゃな!」
フォークを握るジュリアンの手に力がこもり、再び料理を口に運び出す。
『立ち直りが早いというか、なんというか…』
エレスは小さな声で呟きながら、料理にがっつくジュリアンに笑みを漏らした。
*
「ここだな…!」
ペリドットが採れると聞いた山に着いたジュリアンは、早速、長い髪の毛を一つに束ねた。
「ようし!
今日は絶対に良い石を掘り当ててやるぞ!」
ジュリアンの気合いのこもったつるはしが振り下ろされ、固い土砂を削って行く。
その回数が増える毎にジュリアンの額には玉のような汗が滲み、息があがっていくが、そんなことを気に留めることなく、ジュリアンは一心不乱につるはしをふるい続けた。
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