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天使からの贈り物
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「ディック、なんでこんなことを…」

数人の男達に両脇を押さえられながら連れ去られるディックは、ラリーに冷ややかな視線を向けた。



「悪いのはスージーだ…
僕の気持ちを知っていながら、別の男と結婚するなんて…!!
僕は…僕は、そんなこと絶対に認めないからな!」

吐き捨てるようにそう言い残し、ディックは男達に連行された。



「兄さん…!」

「スージー、もう大丈夫だ…」

ディックが去ったことで押さえていた恐怖心が解き放たれたのか、スージーはラリーにしがみつき熱い涙を流し始めた。



「ジュリアン、ありがとう…!
あんたのおかげだ。
この場に俺達がいなかったら、今頃スージーは…
それにしても、あんた、さっきはどうしたんだ?
まるで、こんなことが起きるのがわかってるみたいに思えるが…」

「あ、あぁ…俺は、頭は良くないんだがその分妙にカンが良いっていうのか…
本能的に危険みたいなもんを感じるんだ。
さっき、そのカンが『危険だ!』って知らせてな。
まさか、こんなことが起きるとは思ってなかったが、本当に良かったよ。」

「そうだったのか。
あんたの第六感のおかげだな。
本当にありがとう!」

ラリーは、ジュリアンの手を力強く握り締めた。








『ずいぶんと用心深くなったものだな。』

「当たり前だ。
おまえは俺のことを馬鹿だと思ってるんだろうけど、俺にも学習能力ってもんが少しはあるんだ。」

食事をしていったらどうだと誘ってくれたラリーに、今夜はスージーと二人でゆっくりしてくれと言い残してジュリアンはラリーの家を後にした。
しかし、ジュリアンは宿には戻らず、こっそりとラリーの家の庭に身を潜めた。



『用心深いのは良いが、ディックは自警団の詰所にいるのだぞ。
まさか、もう一度舞い戻って来るなんてことはないと思うがな。』

「甘い!
奴の最後の言葉を聞いていなかったのか!
ディックは、他の男に取られるくらいならすージーを殺そうとまでした男なんだぞ!
どんなことをするかわからねぇ!
俺は今夜は一晩中、ここで見張るんだ!」

『なるほどな…
まぁ、おまえもそれほど本気だということなんだろう。
おまえの気の済むようにすれば良い…』

「うん…
俺…もう二度と失敗はしたくないんだ。
だから…俺の出来ることなら…なんでもやっときたいんだ!」

エレスは、そんなジュリアンに優しい笑顔で頷いた。



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