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天使からの贈り物





(おい、ジュリアン、こんなこともうやめようや。)

真っ暗な台所の片隅で、ラリーが小さな声で囁いた。



(だめだ!スージーにみつかったらまずいって言ったのはあんただぞ!)

(そうは言っても、こんな所でこそ泥みたいに酒飲むなんてどう考えてもおかしいぞ。
静かに飲むって言ったら、きっとスージーだって許してくれるさ。)

(……もうちょっとだ。
もう少しだけ、ここにいよう。)

(あんた…一体、何を考えてるんだ?
さっきから酒もほとんど飲んでないじゃないか。)

(飲んでるって!)



その時、誰かが玄関の扉を叩く音が響いた。



「来た!!」

「お、おい、ジュリアン!」

おもむろに立ち上がったジュリアンにラリーは驚き、彼の後を追った。



「は〜い!」

ちょうど時を同じくしてスージーの声があがり、玄関に向かう途中の彼女の腕をジュリアンが押さえた。



「きゃっ!あ、あなたは…」

驚くスージーにジュリアンは顔を寄せ、人差し指を口の前に立てた。



(スージー、黙って!
いいか、「今、開けます」って言ってくれ。
そして絶対にここから動くんじゃないぞ。)

「ジュリ…」

ジュリアンは声をかけようとしたラリーの口許をさっと塞ぐ。



(良いか、ラリー、スージーの傍から離れるな!)

ラリーはジュリアンのただならぬ雰囲気に、ただ黙って頷いた。
それを見届けたジュリアンは、スージーに目配せをする。



「い…今、開けますね!」

スージーが扉に向かってそう言うと、ジュリアンはゆっくりと鍵を開けた。
かちゃりという鍵のはずれる音と同時に扉が強く引かれ、そこにはナイフを振り上げたディックが赤く血走った目を見開いていた。
ディックはそこにいるはずのないジュリアンに一瞬戸惑っていたが、すぐにスージーをみつけ叫び声を上げナイフを高く振りかざす。



「そうはさせねぇ!」

ジュリアンがディックの腕に掴みかかり、ナイフを取り上げようと格闘する。
目の前の異常な出来事に、一瞬、放心していたラリーもすぐにジュリアンに加勢しに飛びこんだ。
スージーは叫び声を上げ、近所の者に救いを求め…
もみ合いの末に、ディックはジュリアンとラリーによって取り押さえられ、ちょうどその時、声を聞きつけた近所の男が駆け付けた。



「こ、これは、一体、ど…どうしたんだ?!」

男は現場の様子に顔をひきつらせ、血の気を失った青い顔をしている。



「すまないが、自警団に知らせて来てくれ。」

「わ、わかった!」




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あきゅろす。
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