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天使からの贈り物

「スージーは、それまでつきあってた人はいなかったのか?
けっこう美人だし、明るいからモテたんじゃないのか?」

「あいつはサバサバしすぎてるせいか、そんなにモテはしなかったよ。
年頃だっていうのに、おしゃれにも興味を持たず…もしかしたら、そんな風になったのも俺のせいじゃないかと悩んだこともあったくらいだ。
……ただ、一人だけ、スージーにやたらと惚れてる奴はいたけどな…」

「だ、誰なんだ?!そいつは…!!」

ジュリアンは声を上げ、身を乗りだした。



「ど、どうしたんだ、ジュリアン!?」

「い、いや、なんでもない。
それで、誰なんだ、それは…」

「ディックって奴だ。
元々、俺達の幼馴染で子供の頃はよく一緒に遊んだんだが…なんていうのか、ちょっと問題のある奴でな…
スージーも奴からの告白を快く思わなかった。
それで、はっきり断ったんだが、それでも奴は諦めなくて…何度かトラブルになったこともあったんだ。
でも、スージーがロッシーと婚約して、ついに奴も諦めたようだ。
この所は、一切、俺達の前に姿を現さなくなった。」

「そうだったのか…」

ラリーの話を聞いて、ジュリアンはスージーが死に至った経緯をしっかりと理解した。



(ディックの野郎…スージーの結婚が迫ってきて焦って、とんでもないことを考えやがったんだな。
殺してでも他の奴に渡したくないなんて、一体、どういう了見してやがるんだ!
絶対に許せねぇ!)



「よし!ラリー!あんたの家に行こう!」

「おいおい、何を言ってるんだ。
俺は、スージーに追い出されたんだぞ。
刺繍するのに、俺が傍にいたんじゃ気が散るってな。
なのに、あんたまで連れて帰ったら、スージーにどやされるぞ!」

「そ、それはだなぁ…
……あ!あんた、秘蔵の酒を隠してるんじゃないか!
そうだろ!」

「な、なんで、それを?」

「酒飲みってのはそういうもんなんだよ!
なぁ、スージーの結婚の前祝に、その酒を飲ませてくれよ!
頼むよ!」

「それは別に構わないが…
じゃあ、ちょっと家に戻って取って来るよ!」

「俺も一緒に行くって!
裏口から入って、台所でこっそり飲んでたらスージーも気付かないだろ?
さ、行くぜ!」

ラリーはジュリアンの強引な態度にどこか不信感を感じながらも、彼の言葉に従い、二人で自宅へ向かった。



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