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天使からの贈り物

二人の住む町へは日暮れ前に着くことが出来た。



「ジュリアン、ありがとう、助かったよ。
お礼って程じゃないけど、今晩うちで夕食でも…」

「駄目よ、兄さん。
今、うちの中はあんな状態だし、私もやることがいっぱいだから手の込んだものは作れないから外で食べてきてほしいの。」

「なんだよ、愛想のないこと言うなぁ…
ジュリアンに悪いじゃないか。」

「あ!ジュリアンさん、あなた、お酒はお好きかしら?」

「あぁ、けっこう好きだぜ。」

「良かったわ!
兄さん、ジュリアンさんと久しぶりにお酒でも飲んで来なさいよ。ねっ!」

「俺も邪魔者扱いか…わかったよ。
じゃあ、ジュリアン、もう少ししたら宿に迎えに行くよ。」

「あぁ、わかった。」

ジュリアンは宿に案内してもらい、二人と別れた。



『疲れただろう?ラリーが来るまでしばらく休んだらどうだ?』

「エレス……俺、考えたんだけど…」

いつになく真剣な表情のジュリアンに小さな胸騒ぎを感じながら、エレスは黙って彼の次の言葉を待った。



「もらったあの特別な力…返すってことは出来ないか?」

『やはりそういうことか…
そりゃあ、出来ないことはないぞ。
だが、そうしなくとも使わなければ良いだけの話ではないのか?』

「……俺もそう考えた。
でも、きっと、持ってたら俺はまた使ってしまう…それでうまくいきゃあ良いが、この前みたいなことになったらと思うと俺は…」

そう言って俯くジュリアンをみつめながら、エレスは何かを考えるように黙ったままで立っていた。
やがて、心が決まったのか、エレスはゆっくりと窓の方へ歩き、ジュリアンに背を向けたままぽつりと答えた。



『……簡単なことだ。
おまえがそのエレスチャルを手放せば良い。
誰かにやるか売りさばくか、どこかに埋めるか…捨てても構わん…』

「え……?
あの力をなくすには、エレスチャルを手放すしかないのか?
……でも、そんなことしたら、もうおまえとは……」

『私のようなおかしな者は傍にいない方が良いのではないか?』

「そんな……」

『……とにかく、そういうことだ。
おまえの好きなようにするが良い…』

そう言い残し、エレスの身体は空気の中にかき消えた。


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あきゅろす。
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