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天使からの贈り物

「確か、もうすぐのはずだよな?」

『そのようだ。早く辿りつきたいものだな。』

ジュリアンとエレスは、ある町でペリドットの採れる鉱山の噂を聞き付け、その場所を目指して歩いていた。
いつもなら石好きのジュリアンが率先して行くのだが、不思議と今回はエレスの方が乗り気だった。



「そんなに急がなくても良いじゃないか。」

『どうした?疲れたのか?』

「そういうわけじゃないが…」

目的地近くの街道で、道端に腰を掛けて休む男女の姿が二人の目に映った。
二人共、両手に余る程の荷物を抱えている。



「すごい荷物だな。」

ジュリアンが声をかけると、うっすらと汗をかいた男女が同時に振り向いた。



「あぁ…馬車に乗り遅れたんで歩いて来たんだが…やっぱりもう一日待って馬車で戻ってくれば良かったと後悔してた所さ。」

男性のにこやかな顔が答えた。



「でも、もうここまでくればあと少しよ。」

「ってことは、この先の町まで行くのか?」

「ええ。」

「そうか、俺もその町に行く所だったんだ。
その荷物、俺が少し持ってやるよ。」

「え?そんな…」

「遠慮するなって!」

「すまないな。
でも、助かるよ。ありがとう。
俺はラリー、こっちは妹のスージーだ。」

「妹?……そうか、てっきりあんたの嫁さんかと思ってたよ。
あ、俺はジュリアンだ。よろしくな!」



三人は、町に向かって歩く道すがら、お互いのことを話した。
二人の両親はもう何年も前に亡くなり、それ以来、兄妹で助け合ってずっと一緒に生きて来たのだが、スージーはもうじき結婚して引っ越すため、必要な物を買いに遠くの町まで二人で出掛けていたのだとラリーは話した。



「へぇ、そいつはめでたいな!
でも……そうなると、これからはあんたは一人になるんだな。
それはちょっと寂しいよな。」

「なにが寂しいもんか。
こいつが嫁に行ってくれたら、これから俺は自由に生きていける。
せいせいするってもんだぜ!」

「まぁ、兄さんったら、憎たらしい事言うわね!
そんなだから、なかなか奥さんがみつからないのよ!」

「よく言うよ。
俺の傍にはおまえみたいな小うるさいのがいつもくっついてたから、それで敬遠されたんだ!」

口ではそんな言い争いをする間も、二人の顔は微笑んでいる。



(あんなに言い合えるってことは、きっと仲が良いってことなんだろうな。)

(だろうな…)

ジュリアンはエレスに小声で囁きながら、小さく肩をすくめた。


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あきゅろす。
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