天使からの贈り物
11
ジュリアンが、再び目を開けると、そこは、ついさっきと何も変わらない宿屋の部屋の中だった。
「おい…ちゃんと戻ったのか?」
『さぁ…?私にはわからん。』
「ちぇっ。頼りにならない奴だな。
ちょっと見てくる。」
ジュリアンは部屋を出ると階下のカウンターへ向かった。
「マージ!!」
「!!…あなたは?
今、どこから来られたんですか?」
「あ……あ、俺は、あの、その…
そうそう、泊めてもらおうと思ってだな、さっきのぞいたら誰もいなかったんで勝手に部屋にだな…」
「鍵はどうされたんですか?」
「か、鍵は開いてたぜ。
勝手に入りこんで悪かったな。
ちょっと疲れてて、早くに横になりたかったんでな。」
「……そうなんですか…
でも、どうして私の名前を?」
「えっ?そ、それは…だな…
あ、そうそう、この町に着いて宿屋のことを尋ねたら、マージって可愛い娘がいる宿があるって教えてもらってな。ハハハ…」
「……そうだったんですか…」
マージは訝しげな顔をしながらも、何とかジュリアンの話を納得したようだった。
「あ、あのさ、マージ…」
「なんでしょうか?」
「い、いや、なんでもないんだ!」
そう言い残して、ジュリアンは部屋に戻った。
『どうだった?』
「あぁ…戻ってた。
マージも無事だった…
良かった…本当に良かったぜ!!」
『それで、どのくらい戻っていたのだ?』
「それは…まだわからねぇ。」
『わからない?
聞かなかったのか?』
「あぁ…下手にいろんなことを聞いて、おかしな奴だと思われたら困るからな。」」
『なるほどな。
おまえにしては、賢明な選択だったかもしれんな。
前回のことで懲りたか…
まぁ、いずれにせよ、マージは助かった。
良かったじゃないか。
おまえの願望は見事叶えられたってわけだな。
良かったじゃないか。これで安心してここを発てるな。』
「発つ?まだ発てるわけないだろ!
マージとハリーをくっつけてからじゃないとな!」
『何?おまえ、またそんなことを考えてるのか?!
やめておけ。
マージが死ななかったことだけで、良いではないか。』
「馬鹿野郎!
マージとハリーはお互いに好き同士なんだぞ。
なのに、お互い変な気遣いやがって本当の気持ちを言いやしない。
俺がなんとかしてやるしかないだろうが!」
『やめておけ。
あの二人は…』
「あぁ〜、うるさい、うるさい!
おまえの言う事なんて俺は聞かない!
俺は、ぜーーーったいに二人をくっつけて幸せにしてやるからな!」
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