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天使からの贈り物

「マージ!!
なんで、こんなことに…」

マージの母は、冷たくなったマージの亡骸に取りすがって号泣し、その傍らには呆然と立ち尽くす夫の姿があった。



「……あんたのせいだ!
あんたが、マージの本当の気持ちを知っていながら、ケネス様との縁談を進めたからこんなことになったんだ!」

「そ…そんなこと…
マージは…自分からケネス様と結婚するって言ったんだ…」

「うちがケネス様に借金してるから、それであの子はいやだって言い出せなかったんだよ!可哀想なマージ…
ハリーは…ハリーは来てないのかい?!」



マージの父は、外へ飛び出して行った…







「なんだか、下が騒がしいみたいだな。
俺、ちょっと見てくるよ。」

『……相変わらず、野次馬だな…』



ジュリアンが下に降りて行くと、そこには大勢の人が集まり、女性達のすすり泣く声が部屋の中に悲しげに響いていた。
ただならぬ雰囲気を感じたジュリアンは一人の男に声をかけた。



「おい、なにかあったのか?」

「マージが、死んだんだとよ。」

「マ、マージが?!まさか!!」

「本当さ…さっき、川下で遺体が見つかったらしいんだ。」

「な、なんだって、そんなことに…」

「なんでも、気の進まない結婚をすすめられたみたいだぜ。
借金をしてる相手と結婚するのがいやで、身を投げたって話だ。
やっぱり、マージはハリーのことが好きだったんだなぁ…可哀想になぁ…」

「でも、ハリーは他の町の女と結婚して…」

「ハリーが結婚?
馬鹿言うなよ。
ハリーは、病気のおふくろさんを連れてこの町を出て行ったんだ。
おふくろさんの身体に良い温泉の近くの町に行って働くって言ってたぜ。」

「あんた、なんでそんなこと知ってるんだ?」

「なんでって、俺は奴とは家が近いし、ずっと同じ炭坑で働いてたからな。」

「今の話、本当に本当なんだな?!
ハリーは誰とも結婚なんてしないんだな?」

「あぁ、間違いないさ。
ハリーはほとんどこの町から出たことがない。
しかも、朝から晩まで働いて、その上おふくろさんの看病をしてたんだ。
どうやって他の町の女と知り合うっていうんだよ!」

「そ…そんな…
じゃあ…ハリーは、マージに自分のことを諦めさせるためにあんな嘘を…
なのに、俺が、マージにそのまんま言っちまったから、マージは…
な…なんてことだ…!!
お、俺の…俺のせいだ…!」


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あきゅろす。
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