天使からの贈り物
17
『そんなこと…
仮にそうだとしても、それほどうまい具合に戻れるはずがない。
思い通りの時間に戻る事なんて不可能に近い!』
「馬鹿言っちゃいけないな!
おまえ、忘れたのか?
この前、おまえが俺に言ったんだぜ。
『戻り方がうまくなった』ってな。
そうだ、俺はうまくなったんだ。
今度だって、絶対にうまくやってやる!
失敗なんてするもんか!!」
『……そして、スージーをまた危ない目に遭わせるのか?』
エレスの冷やかな視線がジュリアンを捕える。
「ディックはもう二度とあんなことはしない!」
『そんなことがなぜわかる?』
「俺が命に代えても絶対にそんなことはさせないからだ!!」
叫ぶようにそう言い残し、ジュリアンは部屋を出て夜の町に駆け出した。
『ジュリアン、どこへ行くつもりだ?』
「詰所に決まってるだろ!」
『どうしてもやるつもりなのか?』
「あたりまえだ…!!」
ジュリアンのその決意が変わらない事は、エレスにもすでにわかっていた。
『そうか…なら、好きにするが良い…』
そう呟き、エレスは姿を消した。
*
(ディック…待ってろよ!
絶対に…俺は絶対におまえを助ける!
ラリーやスージーのためにもおまえは死んじゃいけないんだ!!)
詰所の傍に着いたジュリアンは物陰に潜み、エレスチャルを握り締めて一心に祈った。
(エレスチャル…頼む!
どうか…どうか、ディックが無事な時に戻してくれ…!
もう一度だけ俺にチャンスを…!
どうしてもディックを救いたいんだ!!)
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