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天使からの贈り物
15
「実は…ほら、自警団に知らせに行ってくれた人…あの人に聞いたんだ。
でも、そのことがなんで関係あるんだ?」

「そうか、ライナスに聞いたのか。
ジュリアン…
あんただけに言うが…あれは、皆の噂した通りディックがやったことなんだ。」

「えっ!?」

「ディックが俺とスージーに打ち明けてくれた…
その時、俺は、奴を怒鳴った!…なんて馬鹿なことをしたんだってな…
だが、スージーはディックに優しかった。
やったことは悪いことだけど、その気持ちはわかるって言って慰めてたよ。
俺はそれを見て、なんとも言えない気持ちになった。
スージーの方が俺より大人に見えた。
でも、俺はスージーの兄だ。
その頃、両親も死んでしまってたし、俺がスージーの手本にならないといけないと思ってたこともあり、俺はそんなスージーを怒った。
他人のものを盗むなんて、どんな理由があったって許されることじゃないんだと諭したよ。
それからは、スージーをディックと会わせないようにした。
奴と関わると、スージーに悪い影響がありそうに思えたんだ。
……俺は、どこかでディックを羨ましく思ってたんだと思う…
自分の気持ちに素直なディックが、きっと妬ましかったんだ。
奴のやったことは悪いことだが、奴が母親のことを本当に愛していたことは確かなんだ。
その思いが強過ぎて、あんなことをやっちまっただけなんだ。
なんで俺はあの時、ディックと一緒に皆に謝ってやれなかったんだろう…
なんで、奴のことをかばってやれなかったんだろう…
両親を失い、たった一人ぼっちになった奴は、きっと俺達を一番頼りにしてた筈なのに…
なんで、俺は……!」

ディックの瞳から大粒の涙がこみ上げ、彼の拳がテーブルを強く叩いた…



「あんたも若かったんだ…
仕方ないさ…
……そうか、そんなことがあったから、ディックはスージーのことを好きになったのかもしれないな。
ディックにとってはスージーだけが信頼出来る存在だったのかもしれないな…」

「だから、俺のせいなんだ…
畜生ーーーー!」

ラリーは、泣きながら自分の頭をテーブルに何度も叩きつけた。
そんなラリーを目の前にして、ジュリアンは彼にかける言葉をみつけられないでいた…



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あきゅろす。
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