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「あれ?おかしいな?
さっきまでそこにいたのに…」

「ほんまですか?
どこ行きはったんやろ?
トイレかな?」

マールがあたりを見回してみると廊下の奥の小部屋の扉がほんの少し開いているのが見えた。

「あれ?
あの部屋…なんやろ?」

マールは、少し開いた扉を押し開けた。



「誰か……あ、ああっ!!失礼しました!!」

マールはあわてて部屋を飛び出し、後ろ手にドアを閉めた。

(わちゃ〜…えらい所に入ってしもた…)

マールが弾んだ息を整えていると、しばらくしてガチャリと扉が開く音がした。



「……部屋に入る時はノックくらいしろ」

不機嫌にそう言い放った美しい女性は、乱れた髪を押さえ、ドレスの肩ひもをたくしあげながらマールの側を通りすぎた。

それに続いて、上着を肩にかけた男性が現れた。
男性はワイシャツのボタンをかけながら、マールの側に近寄ってきた。



「……あいつは、時と場所を選ばない淫らな女でな…」

「あの…トレルさん…ですよね?
あいつって…エルスールさんのことですよね…?
トレルさん、なんや、雰囲気がおかしいことないですか…?」

「トレル!ちょっと来てくれ!」

「あ、オルジェさん!ちょうどええ所に来てくれはったわぁ。
ちょっとお二人にお話聞かせていただけませんか?」

「話だと…?
おまえ、まさか、俺たちのことを…!」

『まずい!マール!
こいつらは危険だ!
アホのふりをするんだ!』

「えっえっ??
あ、あほって…?」

「なんだ?おまえ、誰と話している?
もしかして、おまえも悪魔…」

「よせ!トレル!!」

『まずい!』

ノーマンは、マールの神経を操作し、白眼をむかせた。



「ウィ〜〜〜」

ノーマンは、マールに白眼をむかせながら、肩を揺らし、腰をくねらす。

「な、な、なんだ!?おまえ!
それは一体何の意味なんだ?」

「ウィ〜〜〜」

ノーマンはしつこく同じ動作を繰り返す。

「トレル、そいつにかまうな。
そいつはイカレている。
そんなことより、ちょっと来てくれ。話があるんだ。」

トレルは何度かマールの方を振り向きながら、オルジェと共にどこかへ消えた。


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